“辛くない”トウガラシでダイエット!? (05/09/01)

トウガラシといえば、辛い調味料の代表格。強い殺菌作用のほか、脂肪を燃焼させてエネルギー消費を促すダイエット効果もあるとして、最近注目を集めている。
こうしたトウガラシのさまざまな健康効果を生み出しているのが、独特の辛味成分である「カプサイシン」だ。カプサイシンについてはかなり研究が進んでおり、交感神経を刺激して脂肪を燃やすホルモンの働きを活発にし、体の代謝を促して体温を上昇させる働きがあることが知られている。
ただ、「辛いものはどうも苦手だ」という人もいるだろう。そんな人に朗報なのが、“辛くない”トウガラシの開発が進んでいるというニュース。しかも、脂肪を燃やす効果は変わらないというからありがたい。
開発中のトウガラシは「CH19 Sweet」という品種。現・京都大学農学研究科長の矢澤進氏らが、品種改良によって1985年ごろに開発。その後も、同科のグループを中心に、研究は続けられている。
こちらのトウガラシに含まれている成分の名前は「カプシエイト」。カプサイシンの、アミド結合という部分が、エステル結合に置き換わった化学構造をしており、カプサイシンと構造自体はよく似ている。
しかし、カプシエイトの辛味は非常に弱く、ほとんど味がしないという。このため、トウガラシの欠点でもある消化管の刺激作用が弱く、たくさん食べたとしても、胃腸にかかる負担は少ないとみられている。
これまで、カプシエイトもしくはカプサイシンを含むエサを2週間マウスに与えたところ、同等の減量効果があったという報告や、カプシエイトを取った人では取らなかった人に比べ、15日間で明らかな体重減少が見られた――などの報告がある。
ただ、カプシエイトとカプサイシンの詳しい作用機序に関しては、あまり研究が進んでいなかった。だが、今年5月の日本栄養・食糧学会で、代謝を盛んにし、体温を上昇させる仕組みが、カプサイシンとカプシエイトでは違うという興味深い結果が発表された。
発表したのは、京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻栄養化学分野の川端二功氏。マウスを3群に分け、それぞれに体重1kg当たり10mgのカプサイシン、体重1kg当たり50mgのカプシエイト、どちらの成分も含まないえさ(プラセボ)を与えて、4時間にわたって体温の変化を調べた。
その結果、カプサイシンを与えた群では、投与直後に一時、しっぽの温度が上昇し、体の表面から熱が出ていく傾向があった。しかし、カプシエイトを与えた群ではこうした熱が発散される変化はみられなかった。一方、体内で脂肪を燃やして熱を生み出す効果については、カプサイシン群の方がやや強い傾向がみられたが、カプシエイト群もプラセボ群より優れた効果を示した。
どうやら、エネルギー代謝を活発にする効果はカプサイシンもカプシエイトもあまり変わらないものの、指先など、末梢部の血管を広げて一時的に体温を下げる効果はカプサイシンの方が強そうだ。逆にいえば、カプシエイトには、熱を体内に貯めて冬場のつらい冷えを改善する効果があるのかもしれない。
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