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卵は食べすぎなければ大丈夫

2005年08月22日

 卵(鶏卵)はコレステロールを特に多く含む食材だ。卵1個当たりには、約235mgものコレステロールが含まれる。したがって、卵の食べすぎは、心臓病のリスクを高めるとこれまで考えられていた。



 実際、米国では1968年より、「週に3個までなら卵を食べても良い」という勧告がAHA(米国心臓協会)から出されていたという。ところが、AHAは2002年にこれを撤回し、「個人が卵黄を何個摂取してもよいかという、特定の勧告を行わない」とした。





 この理由は、1982年に、米国フラミンガム地域に住む成人の約3分の2を対象に行った心血管系疾患の疫学的研究(フラミンガム研究)の結果などにより、卵を食べても心臓病のリスクはそれほど高くないことが分かったからだ。



 また、2005年2月に開催された国際脳卒中会議でも、米国人1万人を平均16年間追跡した調査を基にした研究から、健康な人なら1日1〜2個の卵を食べても冠状動脈疾患や脳梗塞の発症は増えないとの結果が報告された(MedWave記事)。



 ソニー健康開発センター・センター長の石川俊次氏は、「食べすぎは厳禁だが、普通の人が1日当たり1〜2個程度の卵を食べる分には、卵に含まれるコレステロールを必要以上に恐れる必要はない」と話す。



 本来、コレステロールは、細胞や消化液、ホルモンなどの材料として必要な物質だ。人は、コレステロールを食べ物から摂取するだけでなく、肝臓や小腸などでも作っている。コレステロールは1日当たり1000〜2000mgほど必要で、そのうち300〜600mg程度が食品由来だと言われている。



 石川氏によると、体が生産するコレステロールの量は、食品由来のコレステロール量で増減する。食品由来のコレステロールの摂取量が増えると、体はコレステロールの生産量を減らすのだ。つまり、多少であれば食事からコレステロールを取りすぎても、コレステロール値が高くなるのを抑えられるわけだ。



善玉コレステロールが増加、超悪玉が減少



 また石川氏によると、卵を食べると、いわゆる“悪玉コレステロール”のLDLコレステロールが増えるが、同時に“善玉コレステロール”であるHDLコレステロールも増えるという。



 コレステロールは、「リポたんぱく」という粒子に含まれた状態で血液中を流れている。この粒子が「LDL」や「HDL」と呼ばれるもので、LDLはコレステロールを細胞に渡す働きを持つ。ところが、細胞に十分なコレステロールがあると、細胞はLDLからコレステロールを受け取らない。



 こうして余ったコレステロールは、血管壁にたまっていってしまう。血管壁にコレステロールがたまりすぎると、動脈硬化になりやすくなる。



 一方、細胞や血管壁から余分なコレステロールを回収するのがHDLだ。HDLが回収したコレステロールは、肝臓に運ばれ、そこでコレステロールは代謝される。



 石川氏によると、卵を食べてLDLコレステロールが増え、血管壁にコレステロールが蓄積しても、やはり卵を食べて増加したHDLコレステロールがそれを回収してくれると考えられる。このため、動脈硬化のリスクはさほど増加しないというわけだ。



 さらに最近の研究で、卵を食べると、LDLが“超悪玉”と呼ばれる小型のLDLから、通常サイズのLDL(いわゆる悪玉)に変わるということが分かってきた。超悪玉は、ただの悪玉よりも、血管壁中にコレステロールを貯めやすい性質を持つ(あなたのコレステロールは“超悪玉”?参照)。



 これは卵を食べると、超悪玉を悪玉に変える酵素の働きが活発になるからのようだ。そのため、血管壁にコレステロールがたまりにくくなるというわけだ。



(田村 嘉麿=健康サイト編集)



イラストレーション/川崎のりこ(PLUM GRAFIX



■「nikkeibp.jp健康」8月25日号:その他の最新記事
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・血圧や脂肪を下げるなら「白ネギ」より「青ネギ」
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・私の本棚:「肥満」を作り出す外食産業と行政に警鐘---『「太りゆく人類」−肥満遺伝子と過食社会−』(エレン・ラペル・シェル=著/栗木さつき=訳、早川書房、1900円+税)



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