本のカルテ:『幸せの公式』(シュテファン・クライン=著、講談社、1800円+税)

同じ仕事をしていても、いつもニコニコ楽しそうで周囲から「お気楽でいいなあ」と言われるような人もいれば、いつも憂鬱そうで元気がない人もいる。いったい、なぜなのか?
実は、脳の中には「幸せ回路」と呼べる脳神経のつながりと、反対に「不幸せ回路」と呼べる脳神経のつながりがある。著者によれば、ニコニコしている人は「幸せ回路」が働きやすく、いつも憂鬱な人は「不幸せ回路」が働きやすいという。
ところが、「幸せ回路」をできるだけ使うようにすると、神経のつながりを強めるドーパミンやセロトニンという脳内物質が働いて、この回路が強化できる。そうすれば、幸せをより強く感じられるし、体も健康になる。逆に、鬱々と悩んだり、嫌なことを頭の中で思い出すのは「不幸せ回路」を強化するからやめよう、というのがこの本のメッセージだ。
著者はドイツの科学ジャーナリスト。ここ数年で大進歩を遂げた「脳科学」分野を徹底取材して、「幸せ回路」の具体的な強化法を多数紹介している。
中でも、代表的な強化法がスポーツだという。スポーツでは「可能な目標の設定」と「それが達成されたときの幸福感」が繰り返されて、「幸せ回路」が強化される。まず、目標設定をすると、脳には人に意欲を持たせる脳内物質ドーパミンが出現。そして、体を動かすと気持ちを明るくするセロトニンが出始め、目標の達成により幸福物質のエンドルフィンが出る――。こんな仕組みで回路が強化される。
そのほか、仕事、恋愛、セックス、きれいな風景を見ること――など、幸せ強化法はさまざま。あなたに合う方法が見つけられそうだ。
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