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ラジオ、デジタルが救う? FM東京を軸に新会社

2005年7月20日

番組に連動して、画像を含む多様なデータを送信できるデジタルラジオ。2006年度からの商業サービスに向け、運営会社が近く、エフエム東京を軸に発足することが、日経ビジネスの取材で明らかになった。新会社の骨格が固まったことで、早ければ来年6月頃にも、デジタルラジオを視聴できる携帯電話端末が発売される見通しだ。


広告収入でネットに抜かれた


7月末にも発表される新会社の資本金は100億円で、既存ラジオ局の出資割合を7割程度とし、残りの3割程度については携帯電話会社や総合商社などが出資する見込み。20億円程度を出資するエフエム東京が筆頭株主となり、ニッポン放送、TBSラジオ&コミュニケーションズ、文化放送の在京主要AM局が10億円ずつ出資、在阪ラジオ局も加わる予定だ。


デジタルラジオは新会社に放送を一元化する。このためチャンネル編成の思惑が絡み、出資比率などを巡って在京各局のつばぜり合いが続いていた。


その裏には、各局共通の危機感がある。2004年度にラジオの広告収入がインターネットに抜かれたことだ。追い討ちをかけるように、デジタルテレビのモバイル向け放送が、2005年度から始まることも決まった。


「このままでは、ラジオの存在感が一段と薄れてしまう」(ニッポン放送の近衛正通常務)。ラジオ各局は当初2011年に予定されていたラジオのデジタル化を5年前倒しで進めるよう総務省に働きかけた。


各局が起死回生のため、デジタル化に大きな期待を寄せる根拠はデータ送信に適した媒体特性にある。


デジタルテレビのモバイル放送は、容量の大きい動画データを送るため、決められた電波帯域の空きが少ない。これに対して、音声主体のラジオは、電波の隙間に多くのデータを流せるので、携帯電話と組み合わせれば、楽曲などのコンテンツをダウンロードしたり、ラジオ通販で商品紹介したりすることも容易だ。


ラジオとコンテンツ販売の相性の良さは実証済み。KDDIはアナログのFMラジオが聴ける携帯電話端末を既に200万台以上販売しており、一般の端末に比べて、楽曲のダウンロードサービスを利用する割合が高いことがデータ上でも裏づけられている。番組の中で一部しか紹介されない曲も、データを送信すればすべて聴けるため、リスナーの利便にかなう。


デジタルラジオから直接コンテンツをダウンロードできるようになると、携帯電話会社の通信料収入が減少してしまうように見える。しかし、楽曲や動画など大容量データの通信は既存の通信網に多大な負担をかけるため、「データ通信の定額制が普及すればデジタルラジオの方が効率的」(NTTドコモの石川昌行・複合メディア担当部長)としており、通信会社側にもデジタルラジオの普及を妨げる理由はない。


移行費用に国の補助なし


コンテンツや商品の販売に結びつけられれば、ラジオ局は広告以外の収入の確保につながる。高音質を生かしてクラシック専門チャンネルなども放送し、多様なリスナーに番組提供できる。現に英国や米国では多チャンネル化でラジオ局の収入は増加した。


ただ、運営会社を通じ全国でデジタルラジオの電波を飛ばすには、数百億円規模の投資が必要だ。テレビは移行費用を国が補助するが、デジタルラジオは自前で賄わなくてはならず、規模で劣るラジオ局には重い負担となる。


ラジオ局は2011年にアナログテレビがデジタルに移行した後、空いたVHF帯をデジタルラジオに振り分けるように総務省に働きかけているが、南俊行・地上放送課長は「2008年までにデジタルラジオ受信機が数百万台普及していないと割り当ては難しい」とし、今後の動向次第とのスタンスだ。


既存のラジオでは視聴できないデジタルラジオはどこまでリスナーを引き寄せられるのか。結局は魅力的な番組作りが肝となりそうだ。(坂田 亮太郎)

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