「総合的な人間活動」としての良い経営とは何か
■人生の予想もしない事態に目の前が真っ暗に
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と日本が言われたころの1982年、世界のファスナー市場で驚異的な力を誇るYKKグループのUSA社、シアトル支店長(当時)だった江口敬一氏は、海外生活6年目にして第二子に恵まれた。
米国の生活にも慣れ、若くして支社長を任され、人生でもっとも充実する頃であるはずだった。第二子は、ごく普通に生まれた。安産だった。しかしその1週間後、事態は一転する。担当医師から、その子が「ダウン症」であることを告げられたのである。
ダウン症とは、人間の染色体46本のうち21番目の染色体が普通より1本、あるいは3本多いなどの染色体異常によって引き起こされる症状を指す。知的障害が出る可能性が高く、また合併症として心臓病をはじめ、白血病やてんかん、甲状腺の機能障害、十二指腸閉鎖・巨大結腸症などの消化器系の奇形、視力障害、聴覚障害などがみられる。
江口夫婦は、人生の予想もしない事態に、一瞬のうちに全身から力が抜け、目の前が真っ暗になった。「いったいこれからどうすればよいのか?」。
■人生の新たな“基軸づくり”のスタート
人生の予想もしない事態に対して当方にくれていた江口夫妻に、担当の医師はこう言った。「あなた方は、障害のある子供を立派に育てられる資格と力のあることを神様が知っておられ、お選びになったご夫婦です。どうぞ愛情深く育ててあげてください」と。
江口氏は、担当医師からそのように言われて「光が差した」と感じた、今をさかのぼること20年以上前のその瞬間を振りかえり、「立ち上がる勇気を医師からもらった」と語る。そのときから、江口夫妻は人生の新たな“基軸”をつくり出していくことになる。
「これから、あなた方ご夫婦にはやることがある」──こう医師は続けた。ワシントン大学付属のダウン症の子供のための療育機関である「発達療育センター」を紹介され、江口夫妻の新たな挑戦が始まった。
米国はそのころ、経済では日本に押され苦しい時期ではあったが、障害者に対する社会インフラの水準は、ハードもソフトも、そして一般市民の意識全体も、日本よりも遙かに先を進んでいた。絶望からはい上がろうとしていた江口夫妻は、すがるような気持ちで発達療育センターを訪ねた。
発達療育センターでは、まず普通の子供もやるような“赤ちゃん体操”をさせられた。とにかく刺激を与えることが、ダウン症の子供には大切だという。1週間ごとにテーマが与えられ、その結果としての子供の発達進度が具体的なデータとなって親にフィードバックされる。さすが、実践主義の米国である。江口夫妻は、毎回のプログラムに参加するたびに、目の前の霧がみるみる晴れていくのが分かった。
■実体験に基づく“知恵”と挑戦する仲間達が自分を変えた
その中に「ファーザーズ・プログラム」というものがあった。そのプログラムには、ダウン症の子供とそのお父さんが呼ばれる。江口氏はダウン症である次男の裕介君と2人でファーザーズ・プログラムに参加した。
江口氏の参加したプログラムには、国や人種の異なる(正確には、イギリス系、ドイツ系、ユダヤ系、東欧系、アジア系の米国人に加え、日本人である江口氏を加えた)ダウン症の子供を持つ父親たちが集まっていた。ダウン症専門のセラピストが、ダウン症とは何か?に始まり、生活の仕方、親の仕事と生活のバランスをどうとるかなど、医学的な側面だけでなく、実体験に基づく生き抜くための知恵を与えてくれた。セラピストの子供もまたダウン症だったようだ。
そういった実践的な生き抜くための知恵は、同じ境遇の人たちにとって貴重な知的財産として蓄積され、共有され、進化していく。またそこでの、人種や国籍は異なるものの同じダウン症の子供を持つ父親同士の仲間意識も強い心の支えになった。
■詳しくは、こちら「bp special 競争優位を獲得する最新IT経営戦略」でご覧になれます。
過去アーカイブ 最新記事 画面先頭に戻る
- 「今までにないタイプのSQLインジェクション」、ゴルフダイジェストへの不正アクセス (17:28)
- 4月改編の反動か!秋の新バラエティで同時多発的に起った異変 (17:26)
- BMWJ、最新ナビと新iDriveを全モデル標準装備した「ニュー BMW 3シリーズ」 (17:26)
- TGS2008特報:今年のスクエニブースは、マイクロソフトブースとの連携に注目 (17:24)
- 本気で持ち歩く人のためのミニノート「FMV-BIBLO LOOX U/B50」 (17:24)
- TGS2008特報:FF20年の集大成、『ディシディア ファイナルファンタジー』 (17:23)
- TGS2008特報:女性からマニアまで楽しめる『シドとチョコボの…』ほか (17:23)
- トマム「山頂駅の雲海」事件 第1幕 (17:07)
- 松本引越センターが破産手続きへ、事業継続を断念 (15:47)
- 森永卓郎:今まさに瓦解する市場原理主義 (15:35)

