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口臭が気になる人に「半夏瀉心湯」

2005年07月11日

 昼食が終わった午後1時過ぎ、職場のトイレの洗面所で歯を磨くビジネスパーソンをよく見かける。虫歯や歯周病の予防とも思われるが、意外にも「口臭が気になるから」という人も多いようである。



 口臭は、口から発生する悪臭のことで、敏感な人もいるが、他人に指摘されるまで気がつかない人も少なくない。他人に不快感を与えるほど異常なにおいは、虫歯、歯周病、口内炎など口腔内の病気によることが多い。



 しかし、胃酸過多、慢性胃炎、胃潰瘍、食道がん、胃がんなどのほか、慢性鼻炎、慢性副鼻腔炎、慢性咽頭炎などによっても口臭は起こり得る。また、他人には感じないのに、口臭があると思い込む心因性のものもある。こちらは特に、20歳代から40歳代の女性に多い。



 口臭の原因となる病気がある場合には、それぞれの病気の専門の医師と相談して、治療を受けることが先決である。



 漢方医学では、口臭は胃に熱があるため、あるいは胃腸が“虚して”食物が消化されないために起こると考える。よく使われる漢方薬としては、「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」「甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)」「六君子湯(りっくんしとう)」「四君子湯(しくんしとう)」「桂枝人参湯(けいしにんじんとう)」「黄連湯(おうれんとう)」――などがある。



体型やほかの症状を考慮して薬剤を選択



 「半夏瀉心湯」は、体質、体力ともに中等度の人で、食欲がなく吐き気があり、さらに、吐き気に食物が消化されずに出てくる「食臭」がみられるときに用いる。舌は常に白く苔が生えたようになっていて、口中が苦く、口臭、口内炎がある人に使う。



 神経質で、口内炎や口腔潰瘍を起こしやすく、口臭がある人には、「甘草瀉心湯」を使う。みぞおちがつかえて苦しく、押さえるとかたい感じがする、お腹がグルグル鳴る、気分が落ち着かず安眠できない――というような人に適応がある。



 「六君子湯」は、胃腸の働きが弱い人で食欲がなく、みぞおちがつかえて疲れやすく、貧血気味で手足が冷えやすい人が訴える口臭に使われる。多くの人がやせ型で、食べ物を少しとるとお腹が張って食べられなくなる“胃内滞水”がある。



 「四君子湯」は、やせて顔色が悪く、食欲もない胃腸虚弱の人や、貧血があり疲れやすい人に向いている。「桂枝人参湯」は人参湯に、体の冷えを取り除き、血のめぐりをよくする桂枝を加えたもので、体の表面は熱しているのに、胃腸は冷えて機能が衰え、吐いたり下痢をしたりする人の口臭に用いる。



 「黄連湯」は、半夏瀉心湯の場合と似た処方で、一般に胃部が重く、悪心や食欲不振があり、口臭がみられるときに使う。



 口臭は、他人に指摘されるまで気がつかない場合もあり、厄介なものである。一時的に口臭を軽減するには、歯をよく磨き、洗口液で口をすすいだり、芳香性の口臭除去剤を口に含んだりする――といった対策が思い浮かぶが、漢方薬を試みるのも一つの方法であろう。



(天野 宏=医療ジャーナリスト)





イラストレーション/川崎のりこ(PLUM GRAFIX



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