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「油」は控えなくても大丈夫? (05/06/30)

2005年06月27日


 最近、「ちょっと太ってきたかな」と感じたり、会社の健康診断で「コレステロール値が高い」と言われたりして、普段の食生活を見直そうかと考えたことのある人は少なくないだろう。




 しかし、どうすれば「カロリー控えめ」で健康的な食生活が送れるのだろうか。多忙なビジネスパーソンとしては、外出先でフライや天ぷらなどの揚げ物を極力頼まないようにしたり、野菜を多めに取るよう心がけるくらいが精一杯、というところだろう。



脂質の多くは食品中の“見えない”油




 意外なことに、実は日ごろわれわれが食事から取っている「油」の大半は、揚げ物や炒め物といった、油を使った料理からではない。牛肉や豚肉、卵、米など、食品自体に含まれているものの方が多いというから驚きだ。




 日本植物油協会の2003年のデータで、食品別に摂取している脂質量の1日当たりの平均をみると、そのうち植物油やマーガリンなどのいわゆる「油脂類」によるものは13.3gにすぎず、肉類や卵類、乳製品など、一般の食品自体に含まれている油からの脂質の摂取量が42.0gにも上っている。




 特に、脂質の中でも、肉類や乳製品などの動物性脂肪に多く含まれる「飽和脂肪酸」は中性脂肪やコレステロールの合成を促進する作用が強く、血液をドロドロにし、動脈硬化をもたらすことが知られている。やがては、心筋梗塞や脳卒中といった重い病気を起こすことにもつながっていく。




 この飽和脂肪酸の摂取量の約9割は、肉類などの食品中の目に見えない油の摂取によるものだという。日常生活では、マヨネーズやサラダ油など、目に見える油分の方が量を控えた実感が得やすいため、目に見えない油について、普段の食生活で意識する機会はあまりないかもしれない。だが実は、食品中に含まれていて、自然に取り過ぎてしまう動物性脂肪のほうが問題なのだ。




 一方、アジやイワシなどの青魚や、オリーブ油などの植物性脂肪に多く含まれている「不飽和脂肪酸」は、血中のコレステロール値を下げる働きがあることで有名だ(参考記事:オリーブ油タップリ、最強の“地中海食”)。中でも、オリーブ油に70%以上、サラダ油に40%以上含まれている一価不飽和脂肪酸の「オレイン酸」は、条件付きとはいえ、2004年に米国食品医薬品局(FDA)から、心疾患を予防する効果があるという表示を許可されている。




 ただし、オレイン酸は肉類の一部にも豊富で、食品成分表によれば、牛のヒレ肉には46.0%、鶏のもも肉には43.2%含まれている。動物性脂肪が気にはなるが、肉類を食べたいという場合には、脂身の多い肉よりも、こういったオレイン酸の豊富な肉を選ぶのも手かもしれない。




 また、今年4月に改定された「食事摂取基準」でも、摂取を積極的に増やすべき栄養素として、同じ不飽和脂肪酸の仲間である「n-3系脂肪酸」を挙げている(参考記事:新しい食事摂取基準を知ってますか?)。




 n-3系脂肪酸といえば、青魚に多いというイメージがあるが、青魚に次いで豊富に含まれているのは植物油。特に、大豆油や菜種油には、脂肪酸組成でみると10%近くものリノレン酸が含まれている。一方、オリーブ油にはリノレン酸は1%未満しか含まれていない。同じ「油」といっても、長所短所はさまざま。一つの種類の油にこだわらず、色々なものを使い分けてはどうだろう。



ビタミンAなどの吸収を助ける効果も




 植物油にはまた、ビタミンAなどの脂溶性ビタミンの吸収を助けるという働きがある。




 米国で、7人の被験者に2週間、ノンオイルドレッシングをかけたサラダ、または6gの植物油を含むドレッシングをかけたサラダ、または28gの植物油を含むドレッシングをかけたサラダを食べてもらい、ビタミンAの血中への吸収を調べた研究がある。




 この研究によれば、ノンオイルのドレッシングでは血中からビタミンAがほとんど検出されなかったのに対し、6gおよび28gの植物油を含む場合には有意にビタミンAの検出量が増加したという。




 わが国のビタミンAの摂取量は、近年の国民栄養調査の平均値をみる限りでは、ずっと推奨摂取量を上回っている。しかし、1998年の「所要量(今の推奨摂取量)に対する摂取量の割合分布」によれば、過剰に摂取している人がいる一方で、約2割の人はビタミンAの摂取量が不足しているという。ビタミンA不足は、暗いところで視力が低下する夜盲症や、皮膚の乾燥による免疫力の低下などを起こし得る。




 何かと悪者にされがちな「油」だが、このようにビタミンの吸収率を高めたり、健康によい不飽和脂肪酸の重要な供給源でもある。油の持つプラス面にも目を向け、上手な摂取を心がけたい。



(小又 理恵子=健康サイト編集)



〔参考文献〕

Brown, M.J. et al : Am J Clin Nutr 2004 ; 80 : 396-403.









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