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ビール会社も便乗する「ジンギスカン」人気の不思議

2005年6月2日

今年1月に開店した「仔羊料理 赤丸ヂンギス」(東京都新宿区)は、いつも予備の10脚の椅子がフル回転する。5人用の席を10人で囲むこともある人気ぶりで、毎日、予約申し込みの3分の1は断っている状態。脱サラして店を開いた渡辺宏美店長は、「お客様からいつ入れるのかというお叱りばかり」と恐縮しきりだ。


ジンギスカン好きの仲間が集まる東京ジンギス倶楽部の野村昌彦会長は、店舗情報を発信している同会のホームページに「1カ月に10万件のアクセスがある」と言う。


におい少なく、ヘルシー


そんなジンギスカン人気の裏で、実は羊肉の輸入に変化が起きていた。


国内消費の99%は外国産だが、輸入会社アンズコフーズの金城誠社長は、「1990年頃は冷凍マトンが主流だった」と話す。マトンは生後1年以上経った羊の肉のこと。過去10年で輸入量が4倍に膨らんだのは生後1年未満の冷蔵ラム肉。マトンや冷凍ラムより羊肉特有のにおいが少なく、敬遠していた人も箸をつけるようになった。


金城氏らの「ラムはダイエットに効果的」とのPR効果も手伝って、手頃な値段で食べられるヘルシーな料理として女性にも注目され出した。


ジンギスカン専門店が続々とオープン。「都内ではこの5年で8軒から51軒に増えた」(野村会長)。参入が比較的容易で、開業熱は高まる一方だ。


既存の飲食店にもラム肉は入り始めている。5月、「庄や」のメニューにジンギスカンを加えた大庄の竹村潤・営業企画推進室長は、「BSE(牛海綿状脳症)の拡大を想定して、一昨年の6月からラムの利用を模索していた」と話す。BSEや鳥インフルエンザの影響で牛・鶏の輸入量は2004年にいずれも前年の約4分の3に減少。代替食材探しを迫られた外食業界にとって、ジンギスカン人気は渡りに船だった。


好機到来とばかり、メーカーや小売りも営業攻勢をかけている。


「どうです、この賑わい」


サッポロビール東京南支店の新出浩士副課長は、ジンギスカンの人気店に飲食店の開業希望者を案内する。


サッポロはジンギスカン専門店の開業支援部隊を昨年5月に設け、タレやサイドメニューの作り方など、ノウハウを積んできた。オーナーとパイプができれば、ビールの取引につながる。北海道のイメージが強い料理だけに、新出副課長は、「当社の業務用シェアは約15%だが、専門店ではそれ以上の成績を得られる」と意気込む。


スーパーも売り込みに躍起


マルエツの精肉部は、「羊肉の拡販」を今年の目標に据えた。大庭茂生チーフバイヤーは一昨年から月1回の主任会議で羊肉料理を作り続け、うまさを訴えた。一昨年の売上高は前年の約10倍。今年も4割増を見込む。


サミットも販売を強化している。ラム肩肉は100g約160円と、価格は豚ばら肉並み。1カ月平均全77店で約1000万円を売り、毎月約10%の伸び。「売り上げはミートボールより上」(精肉部の伊藤真義バイヤー)だ。


伊藤ハムは、臭みを取った「壱番亭 焼肉なかま北海道ジンギスカン」を発売した。ラム・マトンチームマネージャーの和田孝一氏は、羊肉が「第4の肉」として定着することを期待する。


「もつ鍋ブームと同じ」。外食業界からは冷めた声も聞かれるが、今はそれをかき消すような勢いで“ジンギスカン狂騒曲”が鳴り響く。(星 良孝)

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