健康注意報:昼夜交代勤務で3.5倍の“前立腺がん”リスク (05/05/19)
工場や病院、ホテルなど、昼夜交代で働く交代制職場に勤務する男性は、主に昼間働く日勤職場の男性に比べて、前立腺がんにかかるリスクが3.5倍も高くなることが、大規模疫学研究のデータ分析の結果、明らかになりました。
この研究は、文部科学省科学研究費の補助により、1988〜1999年にかけて全国45地域から参加した約11万人(40〜79歳)を対象に、がんによる死亡などについて追跡調査を行った研究で、「JACC Study」と呼ばれています。
調査参加者のうち、特に約1万6000人の男性労働者を対象に前立腺がんと交代制勤務の関連について検討した結果が、4月20日に東京で開催された第78回日本産業衛生学会で、産業医科大学臨床疫学教室の久保達彦氏により報告されました。

この検討では、対象者を最も従事した期間が長い仕事の勤務時間をもとに、「日勤者」「夜勤者」「交代制勤務者」の3グループに分け、年齢や前立腺がんの家族歴、喫煙の有無などを統計的に調整し、前立腺がんのかかりやすさを分析しました。
その結果、日勤者の前立腺がんにかかるリスクを1として比べたところ、夜勤者ではリスクは1.6倍となり、明らかなリスクの増加は認められませんでしたが、交代制勤務者のリスクは3.5倍になり、明らかなリスクの増加が認められました(図)。
人間には、「体内時計」と呼ばれる生体リズムを整える能力が元来備わっていて、生体内のさまざまな生命現象はおおよそ一日の規則的なリズムをもっていることが知られています。このリズムは「概日周期」と呼ばれ、生体内のあらゆる機能調整に影響を及ぼしており、このリズムが狂うとがんにかかりやすくなる可能性は、以前から多くの研究によって指摘されていました。
交代制勤務の人で、前立腺がんのリスクが高くなるメカニズムとしては、不規則な勤務時間によって体内時計が乱れ、「メラトニン」と呼ばれるホルモンの分泌量が低下することなどが引き金になっているのではないかと考えられています。メラトニンは睡眠にかかわりのあるホルモンですが、がん細胞の分裂を抑える効果があることも知られています。
体内時計が乱れるとがんにかかりやすくなることは、これまでにもいろいろな研究で指摘されてきました。前立腺がんについては今回の報告が世界でも初めてですが、ほかに交代制勤務と乳がんや大腸・直腸がんなどとの関連について報告があります。
こうした研究結果から、今後は男性交代制勤務者に対しては、前立腺がんの早期発見を目的とした前立腺がん検診の導入など、労働管理の見直しも必要となるのではないかと考えられています。
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