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花粉症やアトピー“体質”も変える乳酸菌効果

2005年04月18日


 乳酸菌には、腸内の善玉菌を増やして便通を改善する効果があるのはよく知られていること(ピックアップ1参照)。ところが最近、これに続く効果として注目を集めているのが、乳酸菌の抗アレルギー作用だ。




 実際これまでに、乳酸菌には、花粉症や通年性鼻アレルギーの症状緩和、アトピー性皮膚炎の発症予防などに効果があったことが報告されている。しかも特長的なのは、乳酸菌は一時的にアレルギー状態を改善するのではなく、アレルギーになりにくい体質作りに役立つと考えられていることだ。




菌株によってバランス改善の能力にも差




 アレルギーは、体にとっての異物に対する過剰な免疫反応と考えられる。花粉症の人が花粉を吸い込むと、くしゃみや鼻水などの症状が起きるのは、体内に侵入した異物である花粉(アレルゲン)が引き金となって、免疫細胞から粘膜の炎症を引き起こす物質が分泌されるためだ。




 こうしたアレルギー症状が起きるのは、免疫細胞の一種である「ヘルパーT細胞」のバランスが崩れることが原因とする説が有力だ。ヘルパーT細胞には、ウイルス感染細胞やがん細胞などを攻撃するタイプ1(Th1)と、アレルギーの原因になるタイプ2(Th2)があり、両者が連動して免疫機能をコントロールしている。しかし、アレルギーを起こしやすい人はこのバランスが崩れて、Th2がTh1に比べて過剰になってしまっているのだ(ファクトシート参照)。




 アレルギー体質をアレルギーを起こしにくい体質に改善するには、Th1の数を増やすか、Th2の数を減らして、そのバランスを保つようにすればよい。乳酸菌には、Th1を増加させる作用があるという。




 たとえば、ヤクルト本社の報告では、食品アレルギーの動物モデル(マウス)の腹腔内に熱殺菌した乳酸菌を投与すると、Th1の産生を促進する“インターロイキン-12”が増加したことが確認されている。




 さらに、アトピーなどのアレルギー症状の改善には、乳酸菌を食べるだけで効果があることも分かってきた。キリンビールは、アトピー性皮膚炎と類似の症状を発症するマウスに乳酸菌の「KW3110株」を投与すると、皮膚のただれや出血の出現が抑制されると共に、アレルギーの指標となる血中IgE濃度が3分の1に低下することを2004年3月の日本農芸化学会大会で発表している。




 さらに同じ大会では、カルピスや雪印乳業、明治乳業、ヤクルト本社も同様に、「ヨーグルト(乳酸菌)を食べることでアレルギーの対策ができる」という研究成果をこぞって発表した(MedWaveの記事参照)。




 乳酸菌を食べると、どうしてアレルギーの抑制効果があるのかはよく分かっていないが、乳酸菌は体の中の最大の免疫組織である腸に働きかけることで、腸管免疫の機能維持に影響を与えているのではないかと推測されている。乳酸菌を食べると、その乳酸菌は腸に運ばれるが、そこでTh1の力を高める一方で、Th2の働きを抑制しているらしい。つまり、乳酸菌で、お腹の中からアレルギー体質を改善できるわけだ。



 もっとも、乳酸菌と一口にいっても、全ての乳酸菌が一様にTh1を増やし、Th1とTh2のバランスを是正する力があるというわけではなさそうだ。100種類近い乳酸菌をテストに使ったキリンビールの実験では、Th1とTh2のバランスを改善する能力の高さは菌株によって様々だったという。



(田村 嘉麿=健康サイト編集)



〔参考文献〕
日経ドラッグインフォメーション2004(2):76;65.
日経バイオビジネス2002(7):14;70.







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