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男性の心の病気に「柴胡加竜骨牡蠣湯」

2005年04月07日


 仕事や人間関係など、さまざまなストレスにさらされる機会が多いビジネスパーソンだが、特に40代、50代にもなると、職場では上司、部下との人間関係に悩んだり、年齢的にリストラの対象になるのではないかという不安で落ち着かなかったりする。




 自宅に帰っても、妻子との会話もなく、孤独感にさいなまれる――。こんな心理的、社会的なストレスが重なると、食欲不振、不眠、頭重感、疲労感、めまい、息苦しさなど、さまざまな症状が現れる。




 西洋医学では、このような症状に対しては、抗不安薬、向精神薬、抗うつ薬などの神経系に作用する薬を使い、自律訓練法や行動療法なども取り入れて治療を行う。一方、漢方医学では、心も体も同一と考え、肉体的な苦痛を取り除けば、精神的な症状も消えると捉えて、治療を進めていく。




医師とよく相談して自分に合った薬剤を選択




 こうした場合に使われる代表的な薬が、「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」だ。しっかりした体格で体力は中程度かそれ以上、不安、不眠、イライラ感などがあり、胸の両脇部がすっきりせず、その部分が張って苦痛を感じる人に対して使用される。




 柴胡加竜骨牡蠣湯には、鎮静作用がある竜骨、牡蠣に加えて、抗ストレス作用があるとされる柴胡が含まれている。男性の“心の病気”の第1選択薬と位置づける専門家もいるほどだ。




 このほか、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」、「柴朴湯(さいぼくとう)」、「女神散(にょしんさん)」、「抑肝散(よくかんさん)」、「加味帰脾湯(かみきひとう)」、「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などがよく使われる漢方薬といえる。




 このうち、黄連解毒湯は、顔色が赤く、気が高ぶっていて不安や焦燥感があり、動悸があるなど、心悸亢進気味の人に使う。柴朴湯は、体力は中等度で、気分がふさぎがちで、のど、食道部分に異物感があり、ときに動悸やめまい、吐き気などを伴う人に用いられる。




 女神散は、古くは「安栄湯(あんえいとう)」と呼ばれ、戦場で武士の刀傷や神経症に使われた。気の循環を良くしてうっ血を散らし、血熱を冷ます働きがあるとされ、生理不順や月経障害などの女性疾患への効果から、女神散と呼ばれるようになった。精神安定作用もあるといわれており、体力が中等度で、のぼせやめまいを訴える人に使われる。




 抑肝散は、もともと小児のてんかんなどに用いられてきたが、体力が中等度で、興奮しやすく怒りっぽい成人にも用いられる。肝の気が高まると怒りっぽくなるといわれ、それを抑えるところから、この名前がついたといわれている。




 加味帰脾湯は、脾臓や胃が虚弱で、そこに精神的疲労が加わって心身ともに疲労の極みに達し、不安、不眠などを訴える人に使われる。加味逍遥散も基本的に体力のない「虚証」の人が対象で、のぼせ、動悸、不眠、不安感、疲れやすさなどを訴える場合に用いる。女性の神経症状に対して使われる場合が多い。




 最近は、精神神経科、心療内科などで漢方薬を評価する医師も増えているようだ。事前によく相談してから、自分に合った漢方薬を服用することが望ましい。



(天野 宏=医療ジャーナリスト)






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