ビールのホップに胃炎や胃潰瘍の予防効果!? (05/03/31)
毎日の晩酌や楽しい花見のお供に欠かせないビール。そのビールの原料の「ホップ」といえば、ビール独特の苦味や香りの主成分だ。ところが苦味や香りだけでなく、実はホップの中には健康効果が高いとして最近注目の成分、「ポリフェノール」も含まれているという。

ポリフェノールは、赤ワインなどに豊富に含まれていることでよく知られている(参考記事:こんなにある赤ワインが体にいいわけ)。ポリフェノールには、体内の有害な活性酸素と結びついて、細胞や遺伝子が傷つくのを防ぐ“抗酸化作用”がある。
最近、ホップに含まれるポリフェノールが、人の胃粘膜にすみついて胃潰瘍や胃がんを引き起こす原因となるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の働きを抑えるという研究結果が発表された。これは、千葉大病原分子制御学教授の野田公俊氏らとアサヒビールの共同研究によるもの。この4月4〜6日に開かれる日本細菌学会でも報告される予定だ。
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ホップに含まれるポリフェノールには、コレラの毒素や大腸菌の毒素の働きを抑える作用があることが、既に野田氏らの研究で明らかになっている。野田氏らは、ピロリ菌の毒素「VacA」にもホップのポリフェノールが有効ではないかと研究を進めた。VacAは、人の細胞内に液体の詰まった泡を発生させて細胞を破壊してしまう働きがあり、胃に炎症を引き起こす主な病原因子とされている。
野田氏らは、ホップのポリフェノールの濃度を3通りに変えて、培養細胞に対するVacAの働きを抑えることができるかどうかを調べた。すると、ホップのポリフェノールの濃度を上げると、毒素の働きが明らかに抑えられることが分かった(図)。
さらに、マウスを、VacAのみを投与する群と、VacAとホップのポリフェノールを投与する群に分け、48時間後に胃を顕微鏡で観察した。その結果、ポリフェノールを加えた群で、明らかに胃の障害の程度が低かったという。
このように、直接的に毒素の働きを抑えることから、ホップのポリフェノールはVacAと結合することでVacAに何らかの構造的な変化を起こし、VacAが細胞内に侵入するのを抑えるのではないかと考えられている。
日本は、欧米諸国に比べ、胃潰瘍や胃がんの患者が多いことから、積極的に抗菌薬を使ったピロリ菌の除菌治療が行われている。しかし、抗菌薬への耐性を持つピロリ菌の割合が増えているとの指摘もあるため、専門家の中には、食品等の摂取による発症予防に期待を寄せる声もある。
ホップのポリフェノールについてはこのほか、まだ基礎研究や動物実験の段階ではあるものの、虫歯の原因菌の働きを抑制するとの報告もある。いずれ、サプリメントなどの形で登場してくる可能性もありそうだ。
では、ビールを飲むと胃炎や胃潰瘍の予防につながるのだろうか。残念ながら、ホップのポリフェノールが含まれている部分はホップの先端にあり、一部の飲料に少しは使われるものの、通常は捨てられている部分だという。
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