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毎日の通勤を「運動習慣」にする秘訣

2005年02月22日


 健康の維持増進に運動が不可欠であることは、言うまでもない。ウオーキング、筋トレ、エアロビクス、ダンベル体操、スイミング――。それぞれその効能は科学で解明されているし、正しいやり方を丁寧に解説する実践書もたくさんある。しかし実際に、一念発起して運動を始めても、それを習慣として続けていくのは思った以上に難しい。




 実は、だれでも簡単に毎日の習慣にできる(あるいはすでに習慣になっている)運動がある。通勤時の“ウオーキング”だ。通勤時に自宅から駅まで歩く、駅からオフィスまで歩く、この時間を利用すれば、非常に効果的な“運動習慣”ができる。




徒歩や自転車通勤の時間が短い人が糖尿病や高血圧に






 最近の研究でも、毎日の通勤で、徒歩または自転車の利用時間が片道20分以上の人は、それ以下の人に比べて、明らかに高血圧、糖尿病、高コレステロール血症を発症しにくいことが示されている(ファクトシート参照)。




 この研究の対象となったのは、近畿圏にある電器メーカーの工場の勤務者で、定期健康診断の結果、血圧、血清コレステロール、血糖で再検査・精密検査の必要がなく、慢性疾患の治療を受けていない男性429人、女性61人の計490人。




 通勤時に徒歩または自転車を利用する時間(通勤時運動時間)が往復で20分未満(非運動群)、同20分以上40分未満(軽度運動群)、同40分以上(運動群)の3群に分けて、5年間にわたって健康診断の結果と疾病の発症件数などを追跡した。




 対象となった490人の平均年齢は50歳。3群の間で通勤以外での運動習慣に差はなく、体格の差や睡眠時間などの生活時間の分布にも差はなかった。また、アルコール摂取量なども差はなかった。




 その結果、5年の間に高血圧、高コレステロール血症、糖尿病を発症した人の81%、境界型高血糖になった人の71%が非運動群の人で、通勤時の運動時間が多いほどこれらの疾患の発症率が低くなることが明らかになった。また、運動群では肝機能検査で脂肪肝の傾向を示す人も少ないことが分かった。




 なお、この工場では、運動群に相当する往復40分以上(片道20分以上)歩くまたは自転車利用の人は、全体の10%ほどしかいなかったそうだ。通勤時運動時間が20分未満の人の半数以上は、通勤に自動車またはバイクを利用していた。




10分歩けば30キロカロリーを消費




 自宅から駅までミニバイクで行くのをやめて歩く、次のバス停まで歩いて行ってバスに乗る、オフィスに最寄りの地下鉄駅の一つ手前の駅で下車して歩く――など、ちょっと工夫して合計で片道20分の“運動時間”は確保できるだろう。そうすれば、毎日続ける運動として、効果は確実に現れてくるはずだ。




 ちなみに、厚生労働省の健康増進計画である「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」では、日常生活での身体活動・運動を推進する目標のひとつに「日常生活における歩数の増加」を掲げている。日本人が1日に歩く歩数の平均は、男性8202歩、女性7282歩(平成9年度国民栄養調査)。自動車通勤やデスクワークが多い人だと、この平均よりずっと少なくなり5000歩前後しか歩いていない人も多い。


 「健康日本21」では、「1日1万歩」の歩数を確保することを最終目標に、10年後の目標としては、男性9200歩、女性8300歩をめざす。これは、スポーツ医学などの研究から割り出された数値で、健康維持に最適な身体活動の目安となる1週間で2000キロカロリー(1日当たり約300キロカロリー)を消費する運動になる。




 つまり、体重60キロの人が、分速70メートル(時速4キロメートル)のペースで、歩幅70センチメートルで10分間歩く(700メートル、1000歩)ときの消費エネルギーは30キロカロリー。1日あたり300キロカロリーのエネルギーを消費する歩数は1万歩に相当するという計算になる。




 歩数計で自分の1日の歩数を知ることは、健康管理の第一歩だと言える。1日の歩数を実感できる歩数計は、いま隠れたベストセラー商品だそうだ。1000円台の簡易なものから1万円以上の高機能のものまで、多様な機種が発売されている。消費カロリー計算ができたり、1週間分の記録が残せるタイプや、さらにパソコンにつないでデータをグラフ化したり、長期間の記録管理ができるタイプなどもある。




 通勤時にしっかり歩くようにすれば、最終目標の「1日1万歩」もさほど難しい目標ではない。



(広多 勤=日経メディカル開発)




〔参考サイト〕
勤労者の通勤時運動時間と虚血性心疾患危険因子の関係(厚生統計協会の「厚生の指標」2004年10月号)
厚生労働省の「健康日本21」に関するページ






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