「歴史は繰り返された」、タカラ・佐藤社長が業績悪化で引責辞任
タカラの佐藤慶太社長が、業績悪化の責任を取り、3月31日付で代表権のない会長に退く。当初黒字予想だった2005年3月期の連結純損益は、昨年11月に既に、5期ぶりの赤字に下方修正していた。そのわずか2カ月後、年末商戦の不振などにより、11月時点の見込みを77億円も上回る105億円の赤字へ再度修正を迫られた。
「1000億円」創業者の悲願
ヒット不在で業績が悪化し降板を余儀なくされる。慶太氏は結局、兄の博久氏と同じ道をたどることになった。
1999年7月に社長を退いた博久氏は、創業者で父の安太氏によるカリスマ経営から組織経営への転換を図ったが、社内の士気の低下を招いた。
安太氏から再建を託された慶太氏は2000年2月に社長に就任。現場への権限委譲により社内に活気を呼び戻す一方で企業買収を繰り返し、家電やホームセンターなど玩具以外の事業領域へと進出していく。
2000年3月期に連結最終赤字を計上した業績は、2003年3月期まで3期連続で期初の計画を上回った。だが、2004年3月期は売上高1000億円の目標を予定より1年前倒しで達成したものの、見通しよりも売り上げ、利益とも下振れした。
「退任は今期の業績の責任を取ってのこと。経営全般で失敗したとは思っていない」。記者会見の席上、慶太氏は、こう釈明した。
80歳になる安太氏は「だっこちゃん」や「リカちゃん」などの大ヒット商品を生み出し、「おもちゃの神様」と称された人物だ。「10年以内に1000億円規模の生活文化娯楽用品総合メーカーとなる」ことなどを経営理念に掲げたのは1982年。慶太氏が描いた成長目標は、いわば創業者の悲願だったわけだ。
新社長には、タカラの取締役で子会社アトラスの社長を兼務する奥出信行氏が就任する。現在60歳で、安太氏、博久氏、そして慶太氏と3代続いた創業家社長を支えてきた番頭役だ。安太氏から直接、玩具開発のイロハを叩き込まれ、「トランスフォーマー」などタカラを代表する男児玩具を育て上げたヒットメーカーでもある。
奥出氏は、会見で「今やるべきは玩具事業で足元を固めることだ」と強調した。連結子会社を大幅に減らし、人員削減を含むリストラを早急に実施することから、再建に着手する。同時に、こうもつけ加えた。「(玩具以外の事業の拡大を目指す)佐藤社長のビジョンは間違っていない。常務の真下(修)とペアで、ヒット商品を生み出していきたい」
真下氏はタカラの復活劇を支えたベイブレードの開発者で、社内では奥出氏の次の社長とも目される41歳の若手だ。奥出氏も、真下氏も玩具店に出向き、商品がなぜヒットしているのかを執念深く探る安太氏流の玩具作りを継承している。
バンダイに学ぶも道半ば
だが今のタカラに必要なのは、大ヒット商品がなくても、リカちゃんなどの資産を生かし、安定した収益を確保できる事業構造の確立だ。この数年、タカラは、「ガンダム」などの定番キャラクターをテレビアニメや玩具、キャラクター商品に巧みに展開し、複数の安定収益基盤を持つバンダイの成功パターンを学び、必死に取り込もうとしてきたが、その成果は表れていない。「奥出や真下もいる。いつか、バンダイを抜く日が来ると思っている」と慶太氏は言った。その目にはどんなタカラの未来が映っているのか。(大竹 剛)
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