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ブランド変更か退去か/伊勢丹がオンワードほか4社に異例の要請

2005年2月1日

大手アパレルメーカーのオンワード樫山は2006年2月までに全国のSC(ショッピングセンター)から「組曲」というブランド名を消すことを検討していることが本誌の取材で明らかになった。「組曲」は同社の売上高の10%以上を占める主力ブランド。20代の女性を主な顧客層に、全国の百貨店、SCなどで販売している。


SC向け組曲が対象


今回、ブランド名から「組曲」を外すことを検討しているのは、主にSC向けの「組曲ファム」といったブランド。百貨店向けの「組曲」に比べて3割程度安い価格設定が特徴だ。


「組曲ファム」は2004年2月期までにSCを中心に約100店舗で展開しており、売上高は約100億円。売上高は百貨店向けの約250億円に及ばない。一方で売上高の前年度比はSC向けが約50%増と百貨店向けの約5%増を大きく上回る。


急成長中のSC向けブランドから「組曲」の2文字を消す理由−。オンワードは「自社ブランド見直しの一環だが、伊勢丹からの要請が1つのきっかけ」と説明する。


オンワードが言う要請とは、昨年秋に伊勢丹が決めた「2006年2月までにSCに似たブランドを持つブランドは全店から排除する」という方針に基づくものだ。オンワードのほか、ファイブフォックス(東京都渋谷区)、サンエー・インターナショナルなど大手4社にも同様の要請を同じ時期に伝えている。


伊勢丹が要請した内容は、各社のブランド戦略に見直しを迫る異例とも言えるもの。具体的には、(1)SCに百貨店と同じブランドを展開する、(2)伊勢丹にあるブランドをより差別化する、(3)SC向けブランドをより差別化する−の3つの選択肢を提示した。


どの方法も無理な場合は伊勢丹から退去してもらうことも考慮しているという。伊勢丹の武藤信一社長は各メーカーのトップと、伊勢丹に出店している各社のブランド戦略について話し合いを進めてきた。


伊勢丹幹部は「SC向けブランドと百貨店ブランドは似ているため、独自色がなくなってしまう。また、より安価なSC向けブランドによって百貨店ブランドの価値が下がる可能性もある」とその理由を話す。「SC向けブランドは百貨店向けブランドより価格が安いため、SCで買い物する顧客も多い」(伊勢丹幹部)という危機感も伊勢丹の方針を後押ししている。


多くの百貨店の売上高が下げ止まらない。そんな中、出店を続けるSCの存在は脅威だ。似たブランドなのに百貨店よりもSCで買う方が安いという消費者の考え方は、売上高を伸ばしている伊勢丹にとっても無視できない。特に地方店はSCと商圏が重なることも多く、商品面でのすみ分けが必要だった。


地方店を改装し標準を示す


伊勢丹は、2006年2月までに地方店の1つで改装に着手、新しい伊勢丹の売り場を提示したい考え。そこでは、SC向けブランドとの差別化をはっきりさせたブランドだけで売り場を構成する。今回の要請を各社が受け入れた後の百貨店の標準を示す。


しかし、伊勢丹の呼びかけに対してアパレル各社の足並みは今のところ揃っていない。要請を受けたあるアパレルメーカーの首脳は「伊勢丹の要請は気にしていない」とし、とりたててブランドの見直しに着手していないという。


オンワードは複数の案について検討している。「組曲ファム」を別のブランドにするか、組曲を取って「ファム」とするか、同社が持つ既存のSC向けブランド「フィールドドリーム」と統合させるか、といった選択肢が挙がっている。「組曲ファム」をそのまま残す可能性も捨てていないという。


異例とも言える要請から始まった伊勢丹の売り場改革。百貨店同士という同業の競争にとどまらず、SCという異業種まで見据えた動きの成否を握るのは、アパレル各社の対応だ。


(飯泉 梓)

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