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「シンプルケータイはケータイのビジネスモデルを変える」〜ツーカーセルラー東京の津田裕士社長

2005年1月25日

(聞き手:平野 亜矢=日経クリック編集)


液晶なし、マナーモードなし、アドレス帳なし。ツーカーが2004年11月に発売した「ツーカーS」は、お笑いタレントの松本人志が「話せりゃええやん」とつぶやくテレビCMそのままに、機能を通話に限定した端末だ。この端末が売れている。


その結果、ツーカーは2004年11月に2年半ぶりの契約数純増を記録。12月には純増数でボーダフォンを抜く3位に躍り出た。ツーカーSの開発をトップダウンで進めたツーカーセルラー東京の津田裕士社長に話を聞いた。


――ツーカーSは60歳代後半〜70歳代のユーザーを中心に売れているそうですね。


ツーカーセルラー東京の津田裕士社長




津田 今までケータイを持ったことのない人も「これなら使える」と購入されています。そもそも今までのケータイは難しすぎた。すでにケータイの普及率は70%にもなろうとしています。1人が1台持つ時代なのに、若い人をメインターゲットにした高機能製品ばかりで、だれもが使える機種がない。その意味ではバリエーションが少ないんです。


――これまで他社もシンプルケータイを出しましたが、これほど売れていないようです。


津田 それは中途半端だからです。操作がラクと言いながら、ボタンがたくさんあってどれを押していいか分からなかったり、ラクだった試しがない。だからツーカーSは徹底的に機能を絞りました。当初は20〜30ページ程度の取扱説明書を付けるつもりでしたが、結局は説明書なしでも使えるケータイにしたんです。


――しかし、ここまで思い切りのいい機種を作るのには、抵抗や反対の意見もあったのでは?


機能を通話に限定した「ツーカーS」



津田 製品化までは3年かかりましたね。製品化を決めた段階で、「こんなケータイは売れないから」と製造を断ってきたメーカーもあります。「メガピクセルのカメラやゲームが付いている機種が1円で売っている時代に、いくらで売るつもりだ」と言われてね。でも、ニーズに合わない製品なんて、1円でも要らないでしょう?


社内でも「液晶くらいは付けた方がいい」という意見がありました。そうでないと、バッテリー残量や電波状況も分からないしね。でも、ユーザーにとって大事なのは、今、電話をかけられるかということ。それならランプの色を変えて示せばいいんです。


その分、通話機能にはこだわりました。着信音は高齢者などにも聞こえやすい音域を選んでいますし、通話音も通常の機種より音域をやや高めにして、子音が聞こえやすいようにしているんです。


――ツーカーSはケータイのある種の“究極”だと思います。次の機種はどうされるんですか?


津田 ツーカーSはあくまでもたたき台。ここから本当に必要な機能のみを追加していきます。マナーモード付き、短縮ダイヤル付き、骨伝導など、シンプルケータイにも3パターンくらいは必要でしょう。


今までのケータイは、ユーザーのニーズに先行する形で機能を追加してきた。その分ユーザーを置き去りにしています。だからツーカーSは一からユーザーの意見をくみ上げて進歩させます。


ケータイのビジネスモデルも変わるでしょう。今までは高機能の端末を原価割れで売って、月額の利用料で収益を回収するモデルでした。でもツーカーSのユーザーは利用料が少ないし、機種変更もしたがらない。だから、端末である程度の利益を確保することが大切です。


1台を長く使うからこそ、価格は多少高くても、デザインや材質にこだわった機種を出したい。機能に費やすコストをデザインや材質に配分すれば、高級感のあるモデルも作れます。例えば、筆記用具は100円のボールペンで満足する人もいれば、何万円もするモンブランのボールペンを使う人もいる。機能一辺倒ではなく、ユーザーのニーズに真に合わせた端末作りをしていく方針です。

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