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「営業の“足腰”が弱くなったら元も子もない」〜住友林業ホームサービス 見越 雅夫 社長(後編)

2005年1月4日

(聞き手は田邊 俊雅=nikkeibp.jp編集長)


――「blog」というテクノロジーは、どのようにとらえましたか?


見越 ネットの先端的なテクノロジーということですね。しかし、はっきりとしたイメージは持ていませんでした。


システムが出来上がったときに、顧客とのワン・ツー・ワンの関係をどう構築するかという課題をかなり高いレベルで解決していたのは、うれしい驚きでした。業務システムにblog的な仕組みを完全に組み込んだのは、他社にはなかなかないと思います。


すみなびの構築に当たっては、それまでのビジネスのやり方を踏まえた情報システムがなかったことも幸いしたと思います。地域密着、ユーザー第一をどう実現するか、そのためのコミュニケーションができるシステムを既存システムの制約なしに考えることができた。当初の理念を押し通すことができたわけです。既存の考え方を除外して、ワン・ツー・ワンを追求することができた。


見越雅夫 社長/住友林業ホームサービス


――すみなびのコスト対効果はどう評価されていますか?


見越 チラシは印刷コストや紙代などでお金がかかります。このシステムは、初期投資は少しかかりましたが、ランニングコストはほとんどかかりません。費用対効果はかなり良いですね。


ネット経由で成約する顧客は、従来の顧客に上積みされる新しい顧客です。ネット経由の顧客は、年齢層も低めだし、すみなびがうまく機能するのではないかと考えています。


ネットを使ったビジネスは、非常に効率がよいものです。ただネットだけに頼ってしまうと、事務所のパソコンの前に座っているだけという仕事ぶりになってしまい、営業の足腰が弱くなっていけません。すみなびは、あくまでも、主要な情報源の一つととらえていきたい。顧客も物件もリアルなものですから、現場を知らないとダメな業界なのです。


都内の店舗は、今、ようやく3店舗になったところです。これからもどんどん増やしていきた。他社はもっとたくさん進出しているので。このセグメントには、若い顧客も多いため、「まずネットで接触する」ということになると考えています。


――他社との競合上、ITやネットをどう位置づけているのでしょうか?






見越 当社のビジネスは、他社とそんなに違いはないと思います。ただし、売買仲介、賃貸・賃借管理、リフォームと住宅にかかわるすべての業務を手がけているのが強みになると考えています。不動産のトータルサービスを提供できる。これは他にはない特徴だと思っています。


ITに関しては、まだまだ大手の後じんを拝していると思っていますし、手探りな感じでもあります。しかし今後は、すべての業務をシステムに乗せていこうと考えています。


今のすみなびは売買仲介のみなので、これに、賃貸やリフォームなどに関する新機能もアドオンしていこうということです。システム的には、営業担当者がデータを入れると、それが即時にお店のデータとして反映される、という点が強みですね。営業担当者全員がデータ入力のパワーになるわけです。データ投入を現場で直接やるようにしている会社は少ないのではないかと思います。


足で稼いだ情報を即時に反映させることができれば、“地域密着”を実現するための非常に大きな支援になる。これだけ店舗のページが充実している例はないのではないかと思います。


システムに依存する部分を3割、“足腰”で稼ぐ部分を7割、というくらいの感覚でいけば、かなり業績に結びつけられるでしょう。今後は、こういった意味でも、IT投資できる会社とできない会社とでは大きな差がついてくると思います。


――すみなびの運営上、何か工夫していることはありますか?


見越 ネットと言ってもユーザーの顔が見えるような仕組みがないとダメだと思います。ネットだけでは、契約まではなかなかたどり着かない。


メールアドレスや電話番号を知らせていただけない“一見さん”の場合は、まず本部で対応し、ある程度顔が見えてきたところで最寄りの支店に対応を任せる、という2段階方式を考えています。営業担当者の中にはメールが不得手な人間も多く、余計なトラブルにつながりかねない場合もあるので、気をつけています。


――ネットを駆使した営業スタイルと従来型のスタイルで同じ売り上げだったら、営業担当者の評価はどうされますか?




見越 評価は店長に任せています。店舗は独立採算なので。加えて、地域によってかなり顧客の特性が違います。アクセス数は、店舗間でかなりのばらつきがあり、2倍以上違います。地域特性を反映しているんですね。


そういうことなので、評価の基本は売り上げです。地域、顧客、物件の特性にもよりますから、ツールは問わない。


最近のユーザーは、まずネットで調べる。そして、すぐに横並びで比較されます。ネットであればこそ、物件の数と質が問われるわけですね。労働集約的な面が強い業界ですが、今のところ、労働集約的ではないやり方の唯一の道具がネットですね。


――今後は、広告メディア、告知メディアとしてもネットが重要になってくるのではないでしょうか?


見越 Yahoo! 不動産などのバナー広告はすごいですね。あそこまではできませんが、効果はあるのだろうとは思っています。課題ですね。すみなびがうまく伸びれば、集客のための広告をネット上で流していく可能性はあります。投資先行というわけにはいかないので、現状は、はっきりとした効果が見込める業界横断的な不動産情報サイトに露出させているだけです。そのサイトと紙のチラシとの連動は意識しています。必ずURLを入れる、というようなことですね。


――オープン系のシステムを採用することで、コストや工期が劇的に低下していますね。


見越 それは実感しました。システム開発の常識が変わっているとは思っていましたが、ここまで来ているとは思っていなかった。システムの仕様も、画面などの見た目も、コストも、従来の基幹システムとはまったく違いますね。


今後、すみなびを基幹システムにつなぎ、物件情報を基幹システムに取り込めるようにします。さらに、業界サイトなどにも情報を流していけるような仕組みにする予定です。


■関連記事:営業マンと顧客を“blog”で結ぶ〜住友林業ホームサービス 見越雅夫 社長(前編)

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