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ココアこそ“一石三鳥”の冬の健康飲料 (04/12/16)

2004年12月13日



 ココアといえば、脂肪分が多くて、甘ったるい飲み物だと思っている人も多いだろう。しかし、赤ワインに含まれる成分として、一躍有名になった「ポリフェノール」が、ココアにも豊富に含まれていることをご存じだろうか。




 実はココアには、飲むと太るどころか、やせる効果がある。特に、夕食後に飲めば、食事で取った脂肪を効率的に燃やしてくれるというからすごい。この効果こそが、ポリフェノールによるものだ。




 ポリフェノールには、体内の有害な活性酸素と結びついて、活性酸素が体内の細胞などを傷つけることを防ぐ“抗酸化作用”がある。さらに、指先などの末端部の血液循環を改善して、血液をサラサラにしてくれる。同時に全身の代謝を高め、脂肪分解酵素の働きを阻害して、脂肪の体内への吸収を抑制する。




 さらに、ココアに含まれる健康によい成分は、ポリフェノールだけではないことも、最近明らかになってきた。このうち代表的な成分が、胃潰瘍や食中毒の原因菌の活動を抑える「遊離不飽和脂肪酸」と、便通を改善する整腸効果が期待される「食物繊維」だ。ココアはまさに“一石三鳥”の健康飲料といえる。




胃潰瘍や胃がんを起こすピロリ菌に抗菌効果




 ココアの抗菌効果については、杏林大学微生物学教授の神谷茂氏らによる報告が幾つか出されている。一つは、Helicobacter pylori(ピロリ菌)について調べたもの。






 ピロリ菌は人の胃粘膜にすみつく細菌で、胃潰瘍や胃がんを引き起こすと考えられている。神谷氏らは、ココアや緑茶、ウーロン茶などの飲料について、ピロリ菌の胃粘膜への接着を抑制できるかどうか調べた。すると、ココアには、他の飲料に比べて非常に高い接着抑制効果があることが明らかになった(図)。




 さらに、ピロリ菌をココアを加えた培地で培養したところ、普段飲む濃度(3.5%)のココアを加えただけでも、培養開始から1時間後には菌の数は6割程度に減少し、1日経つと、菌は検出できない数にまで減少したという。




 こうした抗菌効果は、ココアに含まれる遊離不飽和脂肪酸(オレイン酸やリノール酸など)が、ピロリ菌の細胞膜に作用し、菌を結果的に溶かしてしまうためだと考えられている。




 日本は、欧米諸国に比べ、胃がんの患者が多いことで有名だ。このため、専門家の中には、ピロリ菌に感染した患者にココアを飲んでもらうことで、胃がん予防につながるのではないかと期待する声もある。




 また神谷氏らは別の研究で、大腸菌に対する抗菌効果も調べている。ココアを加えた培地で大腸菌を培養した結果、普段飲む濃度のココアの添加でも、培養開始から3時間で、大腸菌が検出できない数にまで減少することが確認された。このほか、歯周病の原因菌の増殖を抑制するという報告もある。




冬の朝は便通改善効果のあるココアはいかが




 もう一つ、注目されているココアの成分は食物繊維だ。ココアの粉末を見ると、食物繊維が豊富とは思えないかもしれないが、粉末の重さの約3分の1から4分の1を食物繊維が占める。




 したがって、ココアを飲むと、食物繊維は胃腸で分解されず、そのまま排せつされるため、便の量が増えるなど、便の質がまず改善する。それに加え、食物繊維は、ビフィズス菌や腸球菌といった、腸内で消化吸収を助ける善玉菌と呼ばれる細菌の栄養分にもなってくれるのだ。




 このような胃腸への効果を重視するなら、胃に何も入っていない空腹時、朝の起きがけにココアを1杯飲むのがお勧めだ。




 ココアは、メキシコが発祥の地。カカオの実から取りだしたカカオ豆を1週間ほど発酵させ、すりつぶしたカカオマスから脂肪分の多くを取り除いたものが「ココアパウダー」だ。中南米諸国では、紀元前10世紀以前からココアが飲まれていたという。当時、ココアは神への捧げ物であり、王族の不老不死の薬と考えられていたとされている。




 折しも、ホットココアの恋しくなる寒い季節の到来だ。ココアの歴史に思いを馳せながら、この冬から朝晩一杯ずつココアを飲み始めてみるのもいいかもしれない。



(小又 理恵子=nikkeibp.jp健康)




〔参考文献〕

日経ヘルス 2003 (5) ; 62 : 106-115.

日経ヘルス 2004 (2) ; 71 : 38-48.

日経ヘルス 2004 (10) ; 79 : 56-69.



イラストレーション/川崎のりこ(PLUM GRAFIX














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