浸透するも効果を実感できない成果主義
nikkeibp.jpアンケートにご回答いただいた皆さん、まことにありがとうございました。nikkeibp.jpアンケートは、ニュースなどで話題のテーマ、ビジネスパーソンの注目が集まっているテーマなどにフォーカスして、読者の皆さんのご意見をうかがい、その結果をWebサイトのコンテンツとして公開していく企画です。
第10回のテーマは、「成果主義」でした。成果主義の導入が進むにつれて、運用の難しさが指摘されるようになりました。今回は、その実態に迫ろうという試みです。主な設問は、「成果主義を導入しているか」、「成果主義の導入によって、企業の収益力やあなたのパフォーマンスは向上したか」、「評価は公正に行われているか」です「成果主義」でした。成果主義の導入が進むにつれて、運用の難しさが指摘されるようになりました。今回は、その実態に迫ろうという試みです。主な設問は、「成果主義を導入しているか」、「成果主義の導入によって、企業の収益力やあなたのパフォーマンスは向上したか」、「評価は公正に行われているか」です。
今回の調査では「成果主義」を、「給与額や昇進・昇格を、仕事の成果(目標とする売上高を達成する、目標とする研究成果を上げる、など)によって決める」仕組みと定義しました。
まず成果主義の導入度合いについて質問しました。「ほぼ年功だけで、給与や昇進・昇格を決めている」との回答はわずか7.2%。回答者が勤務する企業の9割超が、なにかしらの形で「成果」を評価に取り入れているようです。成果主義は「浸透した」と言ってよいでしょう。

評価における「成果」のウエイトも、高い値が出ました。「主に成果で、給与額や昇進・昇格を決めている」が58.0%と、全回答の6割弱にまで達しています。「ほぼ成果だけで、給与額や昇進・昇格を決めている」との回答も12.6%ありました。
このように浸透した成果主義は、企業の収益力向上や従業員のパフォーマンス向上といった「成果」を実らせているのでしょうか? 少なくとも回答者の皆さんは効果を実感できず、「大きな効果はない」とお考えのようです。
まず、企業の収益力向上について。55.6%の方が「変わらない」と回答しました。「高まった」(10.4%)と「低くなった」(15.3%)を比べると、若干ですが、「低くなった」が上回ります。成果主義の導入によって収益力が低下したと感じるようでは本末転倒ですね。

次に、パフォーマンスについて。「成果主義の導入によって、あなたの仕事のパフォーマンスは向上しましたか」との問に対して、「大きく向上した」は2.3%、「まあまあ向上した」は21.2%。『向上した』との回答は、両者を合わせても23.5%にとどまりました。これに対して「全然向上していない」(24.1%)と「あまり向上していない」(44.0%)を合わせた『向上していない』との回答は68.1%ありました。

成果主義の導入が、従業員のメンタルヘルスに少なからぬ影響を与えていることが話題になっています。収益力やパフォーマンスの面で大きな効果が実感できない「現行」の成果主義は、考え直す必要がありそうです。
ただし、経営者に近い層ほど、成果主義導入による効果を高く評価する傾向があります。見直しをする際には、評価する側とされる側の実感の差をすり合わせることが、改善への第一歩になるでしょう。
企業の収益力向上について、「経営・役員クラス」、「事業部長・工場長・部長クラス」、「課長・係長・主任クラス」、「一般社員・職員クラス」という役職別に分析しました。「経営・役員クラス」では、「高まった」との回答が32.3%あり、平均値である10.4%を大きく上回りました。この値は、「事業部長・工場長・部長クラス」では13.5%、「課長・係長・主任クラス」では8.7%、「一般社員・職員クラス」では6.8%と、役職が下がるほど低下します。
パフォーマンスについても同様で、役職が高いほど『向上した』の割合が高いとの結果が出ました。値は、役職の上から順に、50.0%、29.2%、21.9%、17.0%でした。
成果主義を導入しても、回答者がパフォーマンスの向上を実感できない原因は何でしょうか? 当の本人がパフォーマンスの向上を実感できないようでは、客観的に見ても、パフォーマンスは向上していない可能性が高いでしょう。今回のアンケートでは、「評価基準を明確にしない」、「不公正な評価をする」といった運用上の問題に原因があると仮定し、因果関係を分析しました。
まず、成果を計る基準となる「目標」を設定するのに必要な「評価基準」が明確になっているか、尋ねました。回答は、「明確」(6.4%)と「まあまあ明確」(34.5%)を合わせた『明確』が41.8%。「明確でない」(19.5%)と「あまり明確でない」(37.9%)を合わせた『明確でない』が59.4%で6割を占めました。

先の質問で、パフォーマンスが「大きく向上した」とする回答者に限って分析すると、『明確』の割合は81.1%に達します。ただし、この割合は徐々に低下。「まあまあ向上した」とする回答者では64.3%、「あまり向上していない」とする回答者では40.0%、そして「全然向上していない」では24.6%にとどまります。評価基準が明確であるほど、パフォーマンスの向上を実感しやすいようです。
運用上、目標設定の次に来るのは評価です。「公正な評価」が行われているか、尋ねました。結果は「評価基準」とほぼ同様。「公正に評価されている」(7.3%)と「おおむね公正に評価されている」(30.5%)を合わせた『公正に評価されている』が4割弱。「全く公正に評価されていない」(15.1%)と「あまり公正に評価されていない」(37.8%)を合わせた『公正に評価されていない』が5割強を占めました。

回答者のコメントを見ると、「公正に評価されていない」と感じる理由は、大きく四つのパターンに分かれます。一つは、評価者の訓練不足。「評価者は、評価能力適正検定及びその教育を受けていない」、「管理者の好き嫌いが明確に評価に反映している」、「査定締め切り間際の結果と状況のみで評価をされているように感じる」とのコメントが多数ありました。
後の三つは、相対評価、部署・事業間の評価の不整合、年功序列制との不整合に対するものです。「相対評価のため実績を上げても評価されないことがある」。「与えられる課題を達成できるかどうかは景気・不景気による。自分のパフォーマンスとは関係ない」。「年功型の社員もおり、昇級において年功型の社員とのバランスを考慮されているらしい」といった声が寄せられました。
パフォーマンスが「大きく向上した」とする回答者に限って見ると、『公正に評価されている』との回答は、平均である4割強を大きく上回り、84.9%ありました。しかし、この値も徐々に下がります。「まあまあ向上した」とする回答者で72.3%、「あまり向上していない」で32.6%、そして「全然向上していない」とする回答者では14.1%。
「公正な評価をしている」との印象を与えることが、ビジネスパーソンに、パフォーマンスの向上を実感させるのに重要ということでしょう。少なくとも『向上した』と実感させるとことができなければ、真にパフォーマンスを向上させることはできないと思います。
もちろん、高く評価されたビジネスパーソンは「公正に評価された」と思いがちですし、評価の低いビジネスパーソンは「公正に評価されていない」との感想を持ちがちです。何をもって「公正な評価」とするかは難しい判断です。アンケート結果にも、こうしたブレの影響があるでしょう。しかし、評価結果に至るまでの過程や評価の理由を説明するなどして、「公正」との印象は高める工夫をしても損はないのではないでしょうか。
今後も、月に2回程度の頻度で読者の皆様にアンケートを実施させていただく予定です。次回のアンケートは、「今年注目した記事/ニュース」をテーマにする予定です。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
調査期間:2004年11月23日(火曜日)〜11月29日(月曜日)
回収件数:2526件
調査告知方法:nikkeibp.jpトップページのバナー
性別:男性:92.9%、女性:5.8%、無回答:1.3%
年齢:29歳以下:7.8%、30代:35.4%、40代:35.4%、50代:17.0%、60歳以上:4.1%、無回答:0.2%
調査主体:nikkeibp.jp編集、日経BPコンサルティング 調査第一部
(まとめは、森 永輔=nikkeibp.jp編集)
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