新社長を直撃! シャルレ その1〜「2007年度にV字回復を果たせなければ、CEOとして責任を取る」
三屋裕子(みつや・ゆうこ)氏/シャルレ社長兼CEO
(聞き手:大河原 克行=フリーライター)
婦人下着販売大手、シャルレの社長に2004年4月、女子バレーボール元全日本代表選手の三屋裕子氏が就任した。異例の社長人事に、三屋体制への転換は、多くの人が驚きをもって迎えた。
それから約5か月。三屋社長は早くも、通期および中間期業績見通しを下方修正するという厳しい局面に立たされている。しかし、この数字だけで評価するのは早計だ。むしろ、この下期から来年度にかけての手の打ち方、そしてその成果を推し量るべきだろう。ひとつ確実に言えるのは、三屋イズムが、社内そして代理店に浸透しつつあるということだ。

三屋 裕子 氏/シャルレ社長兼CEO(撮影:行友重治)
−−社長就任から5か月。これまでどんなことをやられましたか?
三屋 シャルレは、これまで30年にわたって、創業者であり名誉会長でもある林雅晴、その奥方である会長の林宏子が、代表取締役社長を務めてきた会社です。そうした会社の社長を継ぐというのは本当に大変ですよ。これは就任してから気がついたんですけどね(笑)。
ここまでの会社へと成長できたのは、製品の力はもちろんのこと、加えて、名誉会長と会長の人柄が大きい。それだけに私自身が、ビジネスメンバーである代理店や特約店の方々に認めてもらわなければ、会社は動かない。

上場企業の社長に就任したのですから、もちろん挨拶回りをしています。私自身を本当に理解してもらう、信頼してもらうために、普通の社長の挨拶回り以上に、コミュニケーションを密にすることに心を配りました。さらに、7月から10月までの間に、代理店・特約店などを対象に50回を超える話し合いの場を持ちました。昨年までは外部講師という気ままな立場で参加していた代理店・特約店向けのセミナーも、今年の場合はCEOとしての発言になりますから、緊迫感が違いますよ。
シャルレ製品の流通は、代理店や特約店と呼ばれるビジネスメンバーを通じて、個人消費者などに販売するネットワークで成り立っている。代理店や特約店は、シャルレから5割あるいは6割で製品を仕入れ、それを試着会というホームパーティ形式の小規模イベントを通じて販売する。消費者が実際に試着することを前提とした販売だ。現在、商品販売の100%が代理店・特約店を通じたもので、百貨店・小売店ルートでの販売は一切行っていない。それだけに、経営陣と、代理店・特約店とのコミュニケーションが重要となる。社長のメッセージが、代理店、特約店に熱いまま届かなければ、シャルレの業績回復はない。
−−セミナーではどんなことを言っているのですか。
三屋 最初に、「シャルレに大切なのは、ブランド力を回復させることだ」と話しています。いま、シャルレのブランドイメージは落ちてきている。世の中ではますますイメージが重視されるようになっているので、これは大きなマイナス要素です。

当社の製品は、6000円から8000円の価格帯が主力となっています。この値段を出して、得をしたと思ってもらわなくては意味がない。例えば、同じ材質の、同じ品質の製品があって、有名ブランドで3万5000円、シャルレで5000円。このときに、「シャルレで高い買い物をした」と思われたら駄目なんです。「高くてもいいから手に入れたい」、「あるいはこの値段で買えて得をした」と言われるブランドにしたいんです。
三屋個人にもブランドがあると思っています。これをシャルレの持つブランドとドッキングさせて新しいブランドイメージをつくることが必要かもしれませんね。
もう一つお話ししているのは、私の哲学でもあります。「自分に負けないことが大切であり、苦しいことがあっても一緒に乗り越えましょう」と言っている。壁にぶつかると、弱い自分が出てきてしまう。これに打ち勝つことが成功する秘訣なんです。私は創業者を超えることはできないですし、代わりもできないと思っています。これからも名誉会長には前に出て、ビジネスメンバーの方々とかかわっていただく考えですし、会長にはバックアップしていただくつもりです。私はビジネスメンバーの隣で、ビジネスメンバーが活動しやすくするためのお手伝いをしていきたいと考えています。
−−先ごろ、中間期および通期の業績見通しを下方修正されました。
三屋 7期わたる下降トレンドにありますから、これを下げ止めるのが最優先課題です。2007年度にV字回復を果たせなければ、私がCEOとしての責任を取る必要性が出てくるだろうと考えています。これまでの企業改革の取り組みを振り返ると、頭が痛いから頭痛薬を飲んだ、お腹が痛いから腹痛止めを飲んだというように対処してきた。だが、本当は対処療法じゃ治らなくて、体質改善そのものに取り組んでいかなくてはならないところにまできている。

同時に、今すぐに効く意識改革も必要です。実は、就任してから一つの手を打った。これまで10年以上やってきた海外セミナーを今年で終わりにしました。代理店・特約店の皆さんには、この海外セミナーを目標にして、モチベーションを高め、販売していただいた。だが、これやめると宣言することで危機感を煽った。残念ながら、これが効かなかった。
これが効けば業績の下方修正はしなくてすんだかもしれません。これから、体質改善に向けた手をますます打っていくつもりです。ただ、シャルレには「変えてはいけないもの」と、「変えるべきもの」があります。「変えてはいけないもの」はなんとしてでも守って行きたい。
三屋社長体制で打った最初の改善策は、今のところ効果が現れていない。だが、三屋社長は、体質改善の必要性を強く認識している。果たして、これからどんな手を打つのだろうか。そして、シャルレにとって、「変えてはいけないもの」と、「変えるべきもの」とは何か。次回、今後の具体的な施策に迫る。
三屋社長のインタビューは、3回連載の第1回です。次回は、24日(水)に掲載する予定です。
■三屋 裕子 氏のプロフィール
1977年3月 八王子実践高校卒業
1980年6月 モスクワオリンピック代表に。しかし日本のボイコットで涙を飲む
1981年3月 筑波大学卒業
1981年4月 日立入社
1984年8月 ロサンゼルス・オリンピック第3位(銅メダルを手にする)
1984年9月 國學院高校に体育教師として奉職
1998年4月 筑波スポーツ科学研究所副所長
2004年6月 (株)シャルレ 代表取締役社長兼最高経営責任者就任
■関連記事
・シャルレ その1〜2007年度にV字回復を果たせなければ、CEOとして責任を取る
・シャルレ その2〜「新しい販路をつくるために、悪役も買って出る」
・シャルレ その3〜「社長就任、高校バレーの指導中に決めた」
■その他の「新社長を直撃!」のインタビュー記事はこちら
・松本正義(まつもと・まさよし)氏/住友電気工業 社長
住友電気工業 その1〜グローバルなプレゼンス確立のため品質など4項目にこだわる
・中根 滋(なかね・しげる)氏/パワードコム 社長
パワードコム その1〜「3〜5年後の技術はどうなっているか」をまず考える
・野澤 正平(のざわ・しょうへい)氏/センチュリー証券 社長
センチュリー証券 その1〜大株主の熱意を意気に感じて証券界に復帰
・三輪 徳泰(みわ・よしひろ)氏/兼松 社長
兼松 その1〜「守り」の経営から一転して「攻め」に転じる
・花田 力(はなだ・つとむ)氏/京成電鉄社長
京成電鉄 その1〜有利子負債の削減が最大の課題
・木村 彌一(きむら・やいち)氏/コスモ石油 社長
コスモ石油 その1〜「忍耐と粘り強さ、そして負けず嫌いが持ち味」
・迫本 淳一(さこもと・じゅんいち)氏/松竹 社長 弁護士
松竹 その1〜「社員と話し合いの機会を多く持って、物事を決めていく」
・和田 浩子(わだ・ひろこ)氏/日本トイザらス 社長 兼 COO
日本トイザらス〜「まねるのではなく、まねられる存在になる」
・西岡 明賜 (にしおか・あけし)氏/マイカル 社長 管財人代理 商品本部長
マイカル その1〜「命題は、再生計画を前倒しで推進すること」
過去アーカイブ 最新記事 画面先頭に戻る
- 「今までにないタイプのSQLインジェクション」、ゴルフダイジェストへの不正アクセス (17:28)
- 4月改編の反動か!秋の新バラエティで同時多発的に起った異変 (17:26)
- BMWJ、最新ナビと新iDriveを全モデル標準装備した「ニュー BMW 3シリーズ」 (17:26)
- TGS2008特報:今年のスクエニブースは、マイクロソフトブースとの連携に注目 (17:24)
- 本気で持ち歩く人のためのミニノート「FMV-BIBLO LOOX U/B50」 (17:24)
- TGS2008特報:FF20年の集大成、『ディシディア ファイナルファンタジー』 (17:23)
- TGS2008特報:女性からマニアまで楽しめる『シドとチョコボの…』ほか (17:23)
- トマム「山頂駅の雲海」事件 第1幕 (17:07)
- 松本引越センターが破産手続きへ、事業継続を断念 (15:47)
- 森永卓郎:今まさに瓦解する市場原理主義 (15:35)

