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Webマーケティングの近未来 第13回〜欧米での企業ブログの現状(その6)

2004年11月8日

Steve Rubel氏インタビュー(前編)

前回、前々回とブログ出版社について解説したが、再び、企業が自分で情報を発信するための企業ブログの話にもどり、PRとブログの関係について専門家の意見を伺ってみたいと思う。


今回から2回にわたって、Virgin Mobile、全米広告主協会などの優良クライアントを持つPRエージェンシーCooperKatz & Co.の副社長であり、自らもPRブログのバイブルとされているMicro PersuasionのブロガーであるSteve Rubel氏に話を聞く。同氏は、ジャーナリストとしてキャリアをスタートさせ、PR業界に入って15年になる。CooperKatzに入ってから3年半になり、クライアントのPR戦略を担当している。


PRブログのバイブル「Micro Persuasion」



織田)

ブログが生まれる前と後でPRの役割は変わったでしょうか。



Rubel)

PRの定義は、様々なメディアを通して一般大衆に対して影響を与え、何らかの行動、態度変容を促すというもので、これはブログ前後で変わりはないと思います。ですが、PRプロセスに対するブログの大きな影響は、「情報コントロール」にあると思います。

以前は、企業は少なくともメディアが発する自分達のメッセージをある程度コントロールすることができました。ブログはこの状況を完全に変えてしまいました。ブログは悪く言えば、何でもありの世界でブロガーは好きなことを書くことができ、それをPR担当者はコントロールできません。昔のPRモデルに慣れているPR担当者は、この現状を無理やり受け入れなければならない辛い立場にあると思います。



織田)

企業内文化で、PR部は情報を押しつける文化があり、カスタマーサポート部は消費者と対話する文化があることから、ブログはカスタマーサポート部から始めるべきという議論がありますが、どのように考えられますか?



Rubel)

大いに同意しますが、もっとその先があると思います。

過去100年の通信技術革新は消費者から生産者を遠ざけるものばかりです。昔は、近所のパン屋とか肉屋のJoeとか、商品を生産している個人をお客さんは知っていました。ですが、そこに電話、ファックス、Eメール、インターネットが生まれ、企業は巨大化して、企業は見えるものの、誰が本当にものを作っているのかが見えない世界になりました。

例えばデルタ航空に電話するとインドの会社が応対し、デルタ航空自体にすら連絡が取れません(笑)。

ブログはこの状況を大きく変えつつあります。例えば、マイクロソフトは大きな会社ですが、次世代のIEチームのブログを読むことができ、彼らが製品のことを気にしながら、あるいはユーザーのことを気にしながら、IEを作っている様子が良くわかります。彼らの製品やテクノロジーに対する情熱が伝わってきます。

つまり、いきなりここに「社員の情熱を伝えるメディア」が登場したことになり、PRのやり方が大きく変わっています。「人間化した企業の時代(Era of Humanized Business)」がやってきたと言えるでしょう。

質問の答えにもどるとPRの役割はこのようなカスタマーサポート、生産部の声を出していくための戦略を立てることに変わっていくと思います。


(インタビューは次回の後半に続く)


PR戦略家らしく、「人間化した企業の時代」、「社員の情熱を伝えるメディア」など覚えやすいキーワードが次々と出てくるところがPRブログのカリスマと呼ばれる所以だと思う。企業ブログについての多くのコメントが、ブログは「企業に個人の顔を持たせる」という言い方をするが、正直なところ今まで、それにどれだけ意味があるかをきちんと理解できていなかった。Rubel氏の企業コミュニケーションの歴史的背景のアナロジーを聞いて、企業ブログのPRチャネルとしてのポジションが多少なりとも理解できたように思う。


引き続きインタビュー後半ではRubel氏に、ブロガーとPRの関係、参加型ジャーナリズムの影響などについての意見を聞く。



参考情報】

Micro Persuasion

CooperKatz & Co.


◎過去記事一覧はこちら

著者の略歴】

織田(おりた)浩一 デジタルメディアストラテジーズ社代表、アドイノベーター編集長。 米シアトルを拠点とし、欧米の新広告手法・メディアテクノロジー・IT調査・コンサルティングサービスを提供。まもなくインターネット広告関連のカンファレンス「Ad Tech NY」に参加の予定。コメント、質問はemail@adinnovator.com へ。ブログは、http://www.adinnovator.com/

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