「酒好き」の人ほど睡眠時呼吸障害の危険大
一般住民を対象にした日本における大規模な疫学研究で、飲酒量が多い人ほど、睡眠時呼吸障害になりやすいことが分かった。特に1日に日本酒3合相当以上を飲んでいる人は、お酒を飲まない人に比べて、経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)が必要な重症の睡眠時呼吸障害になるリスクは3倍以上と、顕著に高かった。
このような飲酒と睡眠時呼吸障害の関連性を指摘した大規模疫学研究報告は、世界的にも初めてだという。またこの研究結果から、逆に、睡眠時呼吸障害が発見された場合、節酒によって症状が改善する可能性が明らかになったわけで、治療面でも注目に値する。
この研究は、筑波大学大学院人間総合科学研究科の谷川武氏らによるもので、研究結果は米国医師会雑誌(JAMA)2004年8月25日号に、Research Letterとして掲載された。

対象としたのは、2000年から2003年にかけて大阪府八尾市高安町南、茨城県協和町、秋田県井川町の3市町村で基本健康診断を受診した40〜69歳の男性1741人のうち、参加の同意を得た1517人。パルスオキシメータ(経皮的動脈血酸素飽和度測定器 )を用い、睡眠中に3%以上酸素飽和度が低下した回数(ODI)が、1時間当たり何回になるか測定した。
その結果、お酒を飲まない人に対する睡眠時呼吸障害のオッズ比(ここでは、非飲酒者を1とした場合の睡眠時呼吸障害のなりやすさを示す)は、飲酒量が多い場合は有意に高く、しかも睡眠時呼吸障害の重症度と飲酒量には強い関連性が認められた(グラフ)。
特に、エチルアルコール摂取量が1日に体重1キログラム当たり1.0グラムを超えると、ODIが15回以上(無呼吸低換気指数が20以上に相当)の重症睡眠時呼吸障害のオッズ比は3.08倍にもなり、有意に高かった。体重1キログラム当たり1.0グラムのエチルアルコールは体重70キログラムの男性の場合、日本酒3合に相当する。
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一方、これを肥満度別に比較すると、調査対象者の中央値であるBMIが23.9以下の人では、睡眠時呼吸障害と飲酒量の増加傾向に有意な関連性が見られたが、23.9以上の人では飲酒量の増加傾向と、個々の飲酒量のいずれについても有意な関連性は見られなかった。これについて谷川氏は、「睡眠時呼吸障害では肥満の影響が強く、アルコール摂取との関連性をマスクしてしまった可能性がある」としている。
飲酒と睡眠時呼吸障害の関連性に加えて、本研究では、一般住民を対象とした睡眠時呼吸障害のスクリーニングで軽度以上(ODI5回以上)の者が全体の40.4%、中等度以上(ODI15回以上)の者が同じく9.0%も発見されたことは興味深い。今後、交通安全や産業衛生などの側面からも、潜在患者の発見・治療が大きな課題になりそうだ。
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