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弱気派との絶交まで宣言、シティバンク在日支店の異様な強気

2004年9月29日

 「我々の事業の進め方を弱気だと見る人とはつき合わない」
 「シティグループ全体でも今年は日本の予算がたっぷりついた」
 「シティバンクほど日本を知る外国銀行はない」


富裕層の資産運用を助言するプライベートバンキング部門の全4拠点の認可取り消しなど、金融庁の厳しい行政処分が下った米シティバンク在日支店。


処分から半年余り前、在日支店では冒頭のような幹部の拡大一辺倒の指示が飛び交っていた。ちょうど、幹部が攻めの計画作りに明け暮れていた頃のことだ。


消費者金融はもっと貸せる


シティにとって2004年は絶好の攻め時と映っていた。日本の銀行は依然として不良債権問題に悩み、消費者金融でも最大手の武富士が創業者による盗聴事件でつまずいている。ライバルの身動きが取れないうちに、一気にシティの存在感を高めようと目論んだ。


銀行業務から保険、証券、さらに消費者金融まで日本で手がけるシティにとって、総合サービスを根づかせるのは最大の目標。そのために各部門がどんどん戦線を拡張していくことが必要と考えた。


キーワードは「強気」。幹部は攻めの姿勢を訴えるため、社内ではこう強調していた。「シティの日本事業は弱気だと思っている人が周囲にいるかもしれない。そんな人とはつき合わない」。異様とも言える強気ぶりだった。


シティの強化策の柱は、顧客のデータとニーズを分析し、徹底的に囲い込むことにあった。


例えば、消費者金融を手がけるCFJ。新たなてこ入れ策として、顧客の借入金額やその利率、返済期間を検証し直す。そこから、さらなる借り入れ余力を計算する。それに基づいて新たなサービスを展開すれば「飽和状態と言われる日本の消費者金融もまだまだ伸びる」(シティ幹部)としていた。


資本関係にある日興シティグループ証券や提携先の地方銀行と協力し、証券から保険までを扱う「ワンストップショッピング」の構想も進めていた。


こうした流れの中でシティの富裕層部門も突き進んだ。資産運用の名を借りて海外不動産の投資斡旋や海外生命保険、美術品の仲介など、銀行業務を超えた違反行為をしてしまった。


シティ本社のチャールズ・プリンスCEO(最高経営責任者)は金融庁の処分を受けて「誠に遺憾」とするコメントを出した。しかし、旗振り役としての責任は免れないだろう。


問われる本社CEOの責任


プリンスCEOは今年2月、シンガポールへの出張の帰りに密かに日本を訪れて事業強化を指揮した。4月にも来日して、日本における寄付活動について記者会見も開いている。一方で、プリンスCEOは欧州事業の強化のために、ドイツ銀行との合併話を進めたが、破談となった。


米国のみならずアジアや欧州で攻めを続けたわけだが、リスク管理は置き去りだったと言わざるを得ない。


金融庁が在日支店に非公式に接触したのは、4月のプリンスCEOの来日から間もない頃だ。また6月にはシンガポール支店で約12万人分の顧客名簿をなくすという不祥事が起きている。さらに現在、ロンドン支店でもユーロ国債の売買を巡り、英当局の捜査を受けている。プリンスCEOの訪問地域で次々と不祥事が起きるのは、偶然だろうか。


金融庁の処分を受けて、シティの在日支店はリスク管理の徹底やCEO職の新設などの対応策を発表したが、不祥事は終わったわけではない。


処分されたプライベートバンキング業務を巡っては、マネーロンダリング(資金洗浄)に絡む人物への口座開設や送金の疑惑、さらに相場操縦罪で起訴された人物に多額の融資をしていた経緯もあり、まだまだ闇の部分は多い。仮にマネーロンダリングに海外への送金や国外口座が絡んでいれば、在日支店だけでなく、シティの海外拠点の責任も問われる。そうなればプリンスCEOも遺憾では済まないだろう。


1990年代に相次ぐ合併で一気に世界最大の金融グループに上り詰めたシティだが、その反動はあまりに大きい。(酒井 耕一)

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