胃カメラはもう苦しくない
胃カメラ(内視鏡)検査を受ける患者の苦痛が少ない「経鼻内視鏡検査」が注目されている。この検査法は、内視鏡を口ではなく鼻から挿入して消化管の検査を行う方法だ。内視鏡関連の学会で発表されて、一部の内科医の間で広まりつつある。検査を受けた患者にはとても好評のようだ。

一般的に行われている経口内視鏡検査では、喉の奥の舌の付け根(舌根:ぜっこん)にスコープが接触するため、咽頭反射が起きて吐き気を催すことが多い。咽頭反射とは無理に何かを飲み込んでしまうのを防ごうとする体の反応で、歯ブラシを口に入れて歯を磨いているときに思わず『ウエッ』となるのも、この咽頭反射のせいだ。
これに対して経鼻内視鏡検査では、スコープが舌根に触れることなく食道や胃に到達するため、患者は吐き気をほとんど感じることなく検査を受けられる。鼻腔内には麻酔薬が塗布されるので、痛みはほとんどない。また、患者は医師と会話することができるため、モニターを見ながら医師に質問できるなど、安心感のある診療にもつながる。
経鼻内視鏡検査が広まり始めたのは、細い内視鏡スコープが発売されたからだ。従来、一般的に使用されてきたスコープは、太さが約8〜10mmで、経鼻内視鏡検査には使いづらかった。富士写真光機が2002年2月に発売した直径5.9mmのスコープの登場で、経鼻内視鏡検査が容易に行えるようになり、採用する医師が全国に広がりつつある。
病変を見つける能力は、細い経鼻内視鏡でも一般の経口内視鏡とそん色ないという。経鼻内視鏡を考案し、2002年2月から日常診療で用いている出雲中央クリニック(島根県出雲市)の宮脇哲丸氏によれば、これまでに経鼻内視鏡検査を行った2446人中、早期癌14人、進行癌9人を発見した。経口内視鏡では同じく2446人中、早期癌11人、進行癌8人であり、発見率で劣ってはいない。
経鼻内視鏡の欠点は、止血ができないなど内視鏡を使っての処置には限界がある点だ。これはスコープが細いために、取り付けられる鉗子の種類や数が限られるためである。しかし、内視鏡検査で実際に病変が見つかる頻度は1%程度と低い。病変が見つかった場合は、経口内視鏡など他の方法で対処する。宮脇氏は「検診などで精密検査が必要とされた人のためのスクリーニングには最適の検査法だ」と話している。
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