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Apple次期OS「Tiger」は「Longhorn」の1年先を行く

2004年6月29日

会場のそこここ、天井からフロアまで吊り下げられた巨大な万幕にはMicrosoftを挑発する言葉が、いくつも書き連ねられていた。This should keep Redmond busy.(これでレッドモンドは大忙しだろうよ) Redmond, start your photocopiers.(レッドモンドの人たち、複写機コピーを始めなさいよ) Introducing Longhorn.(Longhornをご紹介します) Redmond, we have a problem. (レドモンド管制センター、問題が発生しました)。


Microsoftを挑発する万幕


お断りするまでもないが、レッドモンドとはMicrosoftの本社のあるワシントン州の地名、LonghornとはWindows XPの次のOSの開発コードだ。



Redmond, we have a problem. は少し解説が必要かもしれない。月へ向かうコースを5/6ほど終え、あと一歩というときにアポロ13号が予期せぬ事故に見舞われた。酸素タンクの一つが爆発したのだ。連鎖して、3個あるうちの燃料電池2個までが発電能力が低下、宇宙船としての機能の多くを失ってしまったときに、アポロ13号が伝えてきた報告が「ヒューストン(飛行管制センター)、問題発生」だった。約束通りに開発が進んでいないLonghornを皮肉ったジョークだ。


Microsoft社への痛烈な皮肉を連発する米Apple Computer社のSteve Jobs CEO。


2004年6月28日、米サンフランシスコで開幕したApple Computer社の開発者向け国際会議、WWDC(Worldwide Developer Conference)2004は露骨にMicrosoftに当てつける姿勢に終始した発表会だった。開幕の基調講演に立ったAppleのSteve Jobs CEOは「あっちの人たちはうちの技術をことごとくまねしている。今日お披露目する我々の次期OS、TigerはLonghornの1年先を行っている。今日こうして発表したからまたあの時のようにコピーが始まるだろう」と優位性を強調、出荷は来年(2005年)の前半と約束した。



再びAppleはイノベーションを引き起こす


ハード・ディスクの中に散在するファイルから望みのものを探し出す
「Spotlight」。ファインダから直接呼び出せる。


Steve Jobs CEOは「150以上の新機能を盛り込んで、No.1のシェアを持つUNIXベースのオペレーティングシステムが進化する。64ビットOSとして、クライアントもサーバーもふんだんなメモリーをぜいたくに使ったアプリケーションを走らせることができる」とその機能の一部をデモし始めた。


目玉はSpotlightと呼ぶファイル検索機能。ハードの進化で外部記憶装置はストーレージは巨大化の一途を辿り、何でもかんでもハード・ディスクの中に詰め込まれている。これを、ブン(Seteve)と一発でほしいものを探し出す機能だ。


探し出せるファイルは、「すべてのCMYKファイル」「この1週間で更新されたファイル」「〜に関連した曲」「WWDCのプレゼンテーションファイル」など、ファイルの種類を問わない。「〜について記述したPDFファイル」などといったPDFの中に必要な文言が入っているファイルも探し出してくれる。確かに、何10万件もファイルをため込むことの多くなっている昨今、eMail、画像、楽曲、PDF、プレゼンテーション資料、各種アプリケーションで作ったファイルの検索などの機能は歓迎されるだろう。


Web情報もリアルタイムで最新情報にアクセス


標準ブラウザのSafariがWebコンテンツの閲覧に便利なRSSに対応した。多くのサイト
がRSS対応情報を発信中だ。


情報にアクセスする手段に更なる機動性を付け加えるものとして紹介されたのが「Safari RSS」。最近Web上での情報発信には「RSS(Really Simple Syndication)」と呼ばれる目次情報が同時に配信されていることが多いが、この情報に標準添付のブラウザ、Safariから直接アクセスできる。


Googleなどででは、欲しい情報が数時間〜数日後にしか検索可能とならないが、RSSを直接検索、表示対象にできるようになれば、ニュースなどを読みたいときにリアルタイムでアクセスできるようになるなどのメリットが生じる。



アクセサリを集めたDashboard


アクセサリーソフトをまとめて扱うためのDashiboard。自分のよく使う好みの
Widgetアプリケーションを登録していつでも呼び出せる。


Mac OS X向けにさまざまなアクセサリー機能を提供する「Widgets」を一つにまとめて使いやすくする機能がDashboardだ。たくさんのアクセサリを登録しておき、それをワンタッチで開いてアクセサリを選びやすくさせる。


Panther(Mac OS 10.3)に付属するExpose(最後のeはアクサンテギュ付き)のようにキーをワンタッチするだけで、Dashboardの中身が画面いっぱいに「ぶちまけられ」簡単に機能が選択できる。


3D表示でテレビ会議できるiChat


いよいよビデオ会議が可能になったiChat。同時に4人までの会議ができる。三面鏡の
ような3次元表示で、全体がよく見渡せる


これまで、ユーザーから要望の多かった機能に応えた、と前置きして紹介したのが新iChatだ。音声では最高10人、ビデオ会議では最大4人が会議に参加することができるようになった。ビデオ会議を複数の参加者で行っている場合は3面鏡に参加者が映し出されたような3Dの表示となる。参加者の顔が別々のウインドウに表示されるビデオ会議システムなどがあるが、Appleらしく洗練された画面構成となっており、デモには詰めかけた3500人の拍手喝采が浴びせられた。画面表示も次世代MPEG-4ビデオコーデックのH.264をサポートするQuickTimeを使って、滑らかな画像を表示できるようになった。


この他、基調講演ではTigerの新機能の一部として次のような機能が紹介された


OSの機能として、さまざまな二次元グラフィックス・エフェクト機能が追加される。
どんなアプリケーションでもこんなエフェクトがリアルタイムでかけられるようにな



●二次元映像や動画にリアルタイムのエフェクトを加えることのできるCore Image、Core Video

●次世代MPEG-4ビデオコーデックのH.264をサポートするQuickTime

●.macに新しい同期機能を加えた.Mac Sync(ドットマックシンク)。ブックマーク、emailの初期設定、カレンダーを複数のコンピューターで同期させることができる

●Apple Scriptをドラッグ・アンド・ドロップで開発できるAutomator(オートメーター)。ユーザー自身が、さまざまなアプリケーションを連携して自動実行させるようにできる

●複数のMacを連携させて一つの計算をさせる分散コンピューティングソフトウェアであるXgrid(エックスグリッド)を標準装備

●統合開発ツールの最新版であるXcodeを大幅に改良したXcode 2。Mac OS Xのアプリケーションを簡単かつ迅速に行うことができる。



これ以外にも、既に日本でも新製品発表された30インチの巨大液晶ディスプレイ、23インチと20インチの液晶ディスプレイなどを披露した。いずれも、デザインを従来の透明アクリル縁から細身のアルミ枠に変更した。


2,560×1,600ピクセルの30インチ液晶ディスプレイ、Apple Cinema HD Display。
8月より出荷開始予定で、Apple Store価格398,790円。NVIDIA GeForce 6800 Ultra
DDLグラフィックカード(72,240円)が必要


期待された新iMacなどCPUの新製品は発表されず、参加者の中にはガッカリした表情も見られたが、XCODE 2の劇的な進化などを目の当たりにした開発者達は、またまた開発意欲を刺激されたようだった。なお、WWDC 2004はこのあと金曜日(7月2日)まで、NDA(非公開契約)を結んだ開発者向けに連日セッションが繰り広げられる。(林 伸夫=編集委員室・主任編集委員)

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