西友が取引切った“強い卸”、ウォルマート主導コスト削減策
米ウォルマート・ストアーズ傘下の西友が大手食品卸、菱食との取引を打ち切ったことが分かった。ウォルマート主導でEDLP(毎日が低価格)路線に舵を切る西友は、高コスト体質の転換を急いでいる。1600人規模の正社員削減などによる人件費の圧縮に続き、販管費と商品の調達コストの引き下げを狙い、旧来の取引関係にも大ナタを振るおうとしている。
菱食、100億円の商い失う
西友は加工食品では、国分(東京都中央区)のほか伊藤忠食品、菱食の3社と取引があった。菱食の幹部は本誌の取材に、「取引額が一番少なかったからという理由のみで取引が打ち切られただけ。冷静に受け止めている」と答えた。だがそれは建前ととれる。
確かに西友との取引高は国分の4分の1程度と見られる。それでも年間100億円に上り、菱食にとって上位10位に入るからだ。決算上は菱食とニチレイの卸子会社が昨年10月に合併して誕生したアールワイフードサービス(東京都大田区)が連結対象になり、減収は避けられる見込み。とはいえ、40年以上続いた取引口座がなくなることに、本音で冷静でいられるはずはない。
なぜ西友は、菱食との取引を打ち切ったのか。業界関係者は「多額の投資をし精度の向上に力を注ぐ菱食は、ウォルマートのコストダウンの要求とは相通じないものがあった」と見る。菱食は多種多様な商品を店頭で売り逃しがないよう高い精度で供給する。そんな高精度を誇る菱食でも、コストを重視した西友は、取引をやめる必要があった。
2期連続で最終赤字となった西友は実際、今期は商品にかかる経費について約50億円の削減を見込んでおり、菱食が外れた分の取引が他の2社に単純に上乗せされるわけではない。西友は菱食との取引打ち切りを機に、同社を通じて商品供給していた約40社のメーカーには直接取引を持ちかける方向だ。それに応じず他の卸が取引を引き継いだ場合も、両社は量のメリットを得た分、西友からさらにコストダウンを求められる公算が大きい。
「ウォルマートはトラックの積載効率など生産性に厳しく、それに達しないとペナルティーを科す。我々は達成できているが目標も毎回高くなっている」。伊藤忠食品の岩城彰常務は話す。同社が気を引き締めるのは、さらに卸集約が進む可能性があるからだ。
自社物流センター建設計画も
西友は既に40社程度のメーカーと直接取引しているもよう。食品卸3社は西友の物流センターを運営してきたが、西友は1〜2年後にも自社の総合物流センター建設を予定している。
「西友はウォルマートに販管費の低下を数字で示さなくてはならない責任があるのだろう。だから(打ち切りは)、お客様のことよりも株主のことを考えてやったのではないか。仏カルフールも日本進出当初は大量に安く販売する店舗だったが、日本流の品揃え型のスーパーに変えてきている。ウォルマートも大量陳列、大量販売の店舗を見直す時が来るかもしれない。その時はまた、おつき合いがあるかもしれない」。 菱食の幹部は意味深長にこう語った。
西友の渡邊紀征会長は「2007年までに売上高販管費率を(前期の27.6%から)20%まで下げたい」と話す。6月に新人事制度を発表する予定で業績連動型の給与体系に移行するなど一段のコスト低下を目指す構えだ。
ただ、再建が軌道に乗るか否かは、特売チラシをやめて、いきなりつまずいたEDLPが、日本の消費者の支持をどこまで得られるかで決まる。菱食と再び取引する日が来るかどうかもそこにかかっている。(飯泉 梓)
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