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「5割以上の評価を得よ」--米デルが“部下の満足度”で管理職を処遇

2004年3月3日
 部下の半数以上に評価されない上司は減給の対象になる――。

 パソコン世界最大手の米デルが、管理職に対して、新しい人事制度を導入した。毎年2回、従業員の満足度調査を実施し、その結果を上司の人事考課に反映させる。昨年、マイケル・デル会長兼CEO(最高経営責任者)を含む経営幹部に適用し、今年は対象を約3000人に上るマネジャー層に広げた。人事の公平性や透明性を高めるため、部下の評価を加味する、いわゆる多面評価制度を取り入れる企業は増えているが、デルのケースは、全社を挙げて、従業員満足度の数値目標を設定する本格的なものだ。

半数割れならイエローカード

 同社は、急成長のひずみで経験不足の管理職を大量に誕生させてしまったという反省から、3年前に従業員の満足度調査を始めた。

 質問は全部で30項目からなり、会社や上司に対する満足度を聞いている。今回の新制度は、この調査を発展させたもの。30項目のうち、「マネジャーは仕事と私生活のバランスを取ることを支援してくれるか」など、5つの質問を重点項目に設定し、結果をマネジャーごとに集計して、何割の部下が評価しているかを調べる。

 そのうえで、結果を上司の給与に反映させる。これまでは、個人やチームの業績、顧客満足度の結果などを基に給与を決めてきたが、今後は、これに部下の満足度も加えることにした。

 また、各自の調査結果に応じて、明確な改善目標も定めた。具体的には、1回目に実施する調査で、50%未満の部下にしか評価されなかった上司は、1年以内に50%まで向上させることを義務づけた。既に75%以上の部下から評価されている上司は、その数値の維持を、50%以上75%未満の部下に評価されている上司は、前年対比で20%の改善が目標だ。

 昨年実施した経営幹部の調査では、5項目とも平均は50〜75%の間に収まった。「最終的には、全社平均で75%の部下に評価されるのが目標」(人事担当のポール・マクキンノン上級副社長)という。

 もともと、品質や納期、顧客満足度など、あらゆる経営課題を数値管理して、改善につなげるのは、デルの十八番と言える手法だ。それを今度は人事制度にも応用したことになる。マクキンノン上級副社長は、「当社の従業員は数値管理の仕組みを整え、継続的に検証しないものは重要でないと考える。従業員満足度も測定を始めることによって、会社がいかにこの課題を重視しているかを管理職に示した」と語る。

マネジャー層の離職率が低下

 実際、先行して始めた経営幹部層では、既に効果も表れている。昨年11月に実施した調査結果は、昨年5月の結果よりも部下の満足度が平均で10%以上向上したという。また、昨年はマネジャークラスの離職率が約6%と、直近の6年間では最も低い水準にとどまった。こうした成果を踏まえ、今後は、日本を含む海外の拠点でも、順次導入していく予定だ。

 先頃発表した2004年1月期四半期決算は、売上高が前年同期比18.2%増の115億ドル(約1兆2650億円)、純利益が同24.2%増の7億4900万ドル(約824億円)だった。ハイテク不況からいち早く脱出し、世界首位のパソコンはシェアをさらに拡大中だ。サーバーに代表される企業システム製品でも米ヒューレット・パッカードや米IBMを急追し、液晶テレビや携帯型音楽プレーヤーなどの家電事業にも参入した。

 同社は、中間流通を介さない顧客との直販、いわゆる「デルモデル」で語られることが多い。実は、全社を挙げて数値目標を設定し、企業体質の強化に取り組むところに、もう1つの強さの秘密が垣間見える。(ニューヨーク支局長 山川 龍雄)
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