サービス大国への道 第3回〜外国人ジャーナリストが感じる日本の魅力とは?
2003年12月20日
折しも、小泉政権は政府プロジェクトとして「観光立国」を推し進めている(「日暮れて途遠し」の観もあるが・・・)。
では、外国人(とりわけ欧米人)は今の日本の魅力についてどう感じているのだろうか? これが、日本の「観光立国」を考える上での出発点になる。
観光立国・温泉大国のハンガリーで取材
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| 第2回健康旅行博覧会」は2003年11月28〜30日、ハンガリー・ブダペストのコリンティア・グランドホテル・ロイヤルで開催された |
その魅力の筆頭は1289カ所を数える温泉で、「ハンガリーを訪れる旅行者のうち約1割は、温泉に浸かることを目的にしている」(ハンガリー政府観光局のガラ・ガーボル総裁)。
既に実現した「観光立国」と「温泉大国」を背景に、ハンガリーの経済省と健康省が共催するイベントが「健康旅行博覧会」である。ヨーロッパ諸国を中心に、この博覧会を取材する外国人ジャーナリストも少なくない。
千載一遇のチャンス! 筆者は、「健康旅行博覧会」に参加している外国人ジャーナリストを対象に、日本の魅力についてアンケート調査を実施することにした。回答してくれたジャーナリストは、ロシア(2人)、ウクライナ、ルーマニア、ポーランド、チェコ、ハンガリー、オランダ、フランス、スペイン(2人)、イスラエルの計12人。
過去とモダンが混在する日本のイメージ
| 「第2回健康旅行博覧会」のプレス会場。参加者したジャーナリストを対象に、今回のアンケート調査を実施した |
Q1 あなたは今まで日本に行ったことがあるか?
「はい」は1人のみ、しかもトランジットで成田だけ。「いいえ」が残りの11人。
Q2 今後、日本に行ってみたいと思うか?
12人全員が「はい」。
Q3 日本に行きたい理由は何か? 自由に意見を。
・日本の文化に興味がある(ウクライナ)
・非日常性を求めたい(ルーマニア)
・わが国とは異なる文化を持つ国だから(ポーランド)
・伝統的な文化・美術に触れたい(ハンガリー)
・過去の歴史とモダンな日本の両方に興味がある(オランダ)
・日本の都市景観と歴史に興味がある(スペイン1)
・日本の生活様式に関心がある(スペイン2)
・東洋の文化を持つ国だから(イスラエル)
Q4 あなたにとって、日本をイメージするものは何か?自由に意見を。
・ケンゾー、山本寛斎、京都(ウクライナ)
・相撲(ルーマニア)
・黒澤明、桜、富士山、相撲、すし(ポーランド)
・日本の家の伝統的なインテリア(ハンガリー)
・ハイテク、すし、変った習慣(オランダ)
・山本耀司、禅、すし、テクノロジー(スペイン1)
・カメラのフィルム(スペイン2)
・東京、日の丸、桜、芸者、富士山、和歌、相撲、すし、ソニー(イスラエル)
・富士写真フイルムの製品に代表される優れた工業製品(ロシア1)
・村上春樹、漫画、アニメ(ロシア2)
・皇居、富士山(チェコ)
・神風、万歳、三島由紀夫、俳句(フランス)
Q5 あなたは、日本が世界有数の温泉大国であることを知っているか?
「知っている」は2人、「知らない」は10人。
Q6 日本政府は、「観光立国」を目指すという新しい政策を打ち出した。この政策についてどう思うか? 自由に意見を。
・正しい決断だと思う(ハンガリー)
・よいアイデアだと思う。一般のヨーロッパ人は、日本が観光面で魅力があるとは考えていない。日本政府は日本の魅力を紹介すべき時期に来ていると思う(スペイン1)
・優れた政策だ。なぜなら、日本は本当にすばらしい国だからだ。きっと、海外からの旅行者を増やすことができるだろう(スペイン2)
・日本が「観光立国」を実現するための道のりは遠い。その計画は、まだ“卵”の段階だろう。イスラエルの一般のツーリストは、費用が高すぎる日本を敬遠し、安い費用で済むタイやインドに行きたがっている(イスラエル)
日本の魅力を宣伝しよう!
アンケート調査の結果を見て、彼らはジャーナリストという職業柄、海外の事情(この場合、日本の事情)に詳しいと実感した。同時に、日本が本来持っている魅力はまんざらでもないと思った。各国のジャーナリストも指摘するように、日本は伝統的な文化と、新しい文化を併せ持つ国であり、それぞれが魅力的な存在のようだ。
このうち前者の伝統的な文化は、もっぱら戦後の所産として失われつつあるが、日本が「観光立国」を実現するためにも、いかにそれを残すか、いかに復活させるかが大きな課題である。
また、世界に向けて、日本の魅力を積極的に宣伝する必要性を改めて痛感した。彼ら海外のジャーナリストは、予想以上に日本に関する深い知識を持っていたが、それでも日本が温泉大国であることを知っている者は少なかった。
「健康旅行博覧会」がハンガリーの「温泉」に焦点を合わせたイベントであることを考えると、海外から取材に来たジャーナリストは「温泉」に高い関心を持っているはず。にもかかわらず、である。
スペインのジャーナリストが指摘しているように、そもそも、一般のヨーロッパ人の多くは、日本が観光面で魅力ある国とは考えていないようだ。やはり、「観光立国」の実現に向けて、日本の魅力を計画的に、しかも大掛かりに宣伝する必要があるだろう。「宝の持ち腐れ」という例えもある。
イスラエルのジャーナリストが言うように、日本への旅行は価格面で大きなハンディもある。
確かに、「観光立国」への道は長く、そして険しい。
しかし、「観光立国」が何も外国人観光客のためだけではなく、日本人のためでもあるという点を、ここで銘記したい。戦後日本が無分別に捨ててきてしまった伝統文化を日本人自身が再評価する、そして取り戻す、またとない機会でもあるのだ。
次回も「観光立国」について考えたい。
※注:外国人旅行者の受入数の世界ランキングは2001年のもの(データ出所:WTO=世界観光機関)。ちなみに、1位のフランスは7651万人、5位の中国(アジアで1位)は3317万人、12位のハンガリーは1534万人、35位の日本は477万人。
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■永井 弘(ながいひろし)
慶応義塾大学大学院工学科修士課程修了。日経リゾート副編集長、日経イベント編集長などを経て、現在、編集委員室主任編集委員。専門分野はホテル&リゾート、イベント。著書に「戦後観光開発史」(第24回「交通図書賞」受賞)、「東京年輪論」など。
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