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デパ地下、ホテイチに続く「食」の新潮流

2003年10月30日
 百貨店の地下食品売り場で人気の持ち帰り総菜やデザートなどの店から今、注目を浴びている商業スペースがある。人の行き来が多い駅の構内だ。

 「通勤・通学で利用する人にとって、これまで“駅ナカ”は、一刻も早く抜け出したい場所だったが、今後はゆっくりと買い物したい場所に変わる。商業地として非常に適している」。持ち帰り用総菜大手、ロック・フィールドの岩田弘三社長はこう太鼓判を押す。駅構内と言えば、短い時間で買い物できる店が中心で、サービスも簡素だった。デパ地下に流れていた顧客をせき止められる立地だけに、同社は多様なニーズがあると見て、駅ナカに合った新業態を思案中だ。

●勤め帰りが遅い男性客つかむ

 駅ナカの利点は何よりその便利さにある。まず、ホームに直結した近さ。それに、百貨店は大抵、午後8時前後に閉まるが、早朝から終電近くまで営業できるのも強みだ。

 西武池袋駅構内にドトールコーヒーが今年5月に開設した「エクセルシオールカフェ」は、店頭でケーキの実演販売もしている。「デパ地下で目が肥えている顧客を楽しませるために思いついた」(FC事業本部の山下陽司本部長)というが、駅ナカ立地ならではの相乗効果を上げている。「デパ地下には入りにくい、あるいは、開いている時間に帰れないといったサラリーマンの支持を得ている」ことだ。コーヒー販売の中心顧客は20代の女性だが、ケーキの購入は実は40代の男性が多い。

 駅弁を主力商品とする東日本旅客鉄道(JR東日本)グループの日本レストランエンタプライズ(東京都港区)も駅ナカの潜在力に期待する。持ち帰り総菜の専門店「エキッチン」を5月、都内のJR恵比寿駅構内にオープンした。駅ビルの中にも総菜専門店はあるが、わざわざそこまで足を伸ばさなくても手軽に買えるとあって、10月の販売実績は9月に比べ12%増ペースだ。

 一方、JR東京駅八重洲口の改札脇には、土産店やセルフ式コーヒー店が並ぶ中、10月にベーグル専門店「ジュノエスクベーグル」と焼酎専門店の「Sho-Chu AUTHORITY」が出た。

 ジュノエスクベーグルは駅構内で珍しいフルサービスの喫茶店。約120平方メートルの店内に21席を設け、テーブルも従来店舗より幅を5cm広くするなどゆったりとした作り。駅ナカの喧騒を遮るようにジャズが流れる。

 Sho-Chu AUTHORITYもほぼ同程度の広さで、そこに約3000種類の焼酎が並ぶ。じっくりと時間をかけて商品を選べるように、おしゃれで落ち着いた雰囲気の売り場にしている。

 「東京駅は従来、男性の利用客が多かったが、昨年開業した丸ビルのおかげで女性客が増えてきた。そこで女性に受けるような駅構内にしようと考えた」。商業施設開発を手がける鉄道会館(東京都千代田区)の崎田早苗・SC事業部開発課長は言う。

●立川、大宮駅の増床にらむ

 JR東日本は2005年度に、東京のJR立川駅と埼玉のJR大宮駅を増床する計画。そこに新たに1万5000平方メートルの商業施設が生まれる。ドトールなどフードビジネスを展開する各社は今から、両駅ナカへの出店を視野に入れている。従来、足早に通り過ぎていた駅ナカで、ちょっとした贅沢が楽しめる。そんな「食」の新しい潮流が、もう目の前まで来ているようだ。(飯泉 梓)
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