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ファミリーマート最年少39歳の執行役員

2003年5月7日
 「デスクワークよりも現場が性に合っている。執行役員になっても、仕事のスタイルは変わりませんよ」。こう語るのは、この3月に、39歳にしてファミリーマートの執行役員・神奈川ディストリクト部長に就いた上野和成氏だ。

 同社は執行役員に30代から40代前半の若手を新たに登用、平均年齢を一気に5〜6歳若返らせた。これまでの人事制度では資格制度の関係から、50歳前後に達しないと役員に就くのは難しかったが、従来の制度を大幅に見直した。上野氏はその中でも最年少で、ファミリーマートが進める若返り政策の象徴的存在だ。

●劣勢の本拠地、2年で再建

 消費者と接する小売業が好きで、「面接の際に一番印象が良かった」ファミリーマートに入社したのが1987年。それ以来、一貫してフランチャイズ店を指導する営業部門に所属してきた。甲府市、東京都杉並区、豊島区などに赴任、どのエリアでも、抜群の成績を収めてきた。中でも東京・池袋などの繁華街をカバーする豊島区での活躍は、社内ではよく知られている。

 「お気の毒さま」。99年に上野氏が豊島区の店舗指導員を束ねるエリアマネジャーに任命された時、同僚たちは口々にこう言ったという。無理もない。豊島区はファミリーマートが本拠を構える「お膝元」だが、競合店の相次ぐ進出で、売上高が大幅に落ち込んでいた。一度、劣勢に立ったこの地域を立て直すのは容易ではないと見られていた。

 しかし、上野氏は赴任から2年後、見事にこの地域を復活させる。コンビニエンスストア業界全体が飽和状態に達し、どのチェーンも既存店売上高の低迷に苦しむ中で、とりわけ競争の激しい担当エリアの既存店をプラスにした。予算達成率や新製品導入状況などでは、全国のエリアマネジャーの中でも最優秀の成績を収めた。

 「店舗運営に奇手奇策はない。基本の徹底度合いで勝負が決まる」というのが持論だ。店舗を見るのは、店舗指導員の役割だが、上野氏はエリアマネジャーになってからも週に20〜30店のペースで現場に通っている。店舗に行くと、清掃状態やアルバイトの接客、商品の陳列状態など基本的な項目をチェックする。単に口で説明するのでなく、自ら清掃や陳列を手伝う。

 「コンビニの経営には、労を惜しまずに続ければ、確実に売り上げが増えるノウハウがたくさんあるんです」と言う。例えば、夏場は小学生に棒つきアイスキャンデーがたくさん売れる。しかし、ボックスの奥の方に並べていると、背の低い小学生には手が届かないから、近いところに持ってくる。

 些細なことのように思えるが、その積み上げが総合力となって、売り上げ増につながるという。「ただ、結果が出るまでにはタイムラグがある。その間、我慢できるかどうかが成否の分かれ目」と強調する。

 そうやって、実績の上がった店舗を成功例として他店に紹介する。担当する豊島区の82店舗の業績が全体として底上げされるまで、2年近くかかったという。

●「率先垂範あるのみ」

 そんな活躍が、自らも現場主義を標榜する上田準二社長の目に留まった。上田社長は「社長塾」と呼ぶ一般社員との直接対話の場を設け、全国を行脚している。休日返上で現場を訪れる姿は、2人ともよく似ている。

 執行役員になった上野氏は、全国でも競争の激しい神奈川県を担当し、カバーする店舗の数は82から321へ増えた。5人のエリアマネジャーを指揮する立場だが、そのうち3人は上野氏よりも年齢が上だという。

 当然、やりにくさを感じるところもあるに違いない。しかし、上野氏は、「私が行動で示せば、周囲もじっとしているわけにはいかないでしょう。率先垂範あるのみです」と力を込める。立場こそ執行役員になった上野氏だが、足繁く店舗に通う姿は、当分の間、見られそうだ。(山川 龍雄)
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