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安心ブランドを作る表現と仕組み、ユニクロ野菜のSKIP

2003年4月25日
 ユニクロ野菜と呼ばれる「SKIP」は、旬の野菜や果物などを販売するエフアール・フーズのブランドだ。エフアール・フーズは、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング100%出資の子会社。2002年10月3日にブランドを立ち上げ、現在、主要な販売チャネルは、会員制宅配とオンラインショップ。会員数は1都3県で1万3500人、オンラインユーザーは3万6000人に達し、着実に増加しつつある。2002年11月から1年間の売り上げ目標は16億円だ。




 人気の秘密はおいしさと安全性。SKIPが販売する野菜や果物は、水や肥料を極力抑え、作物が持つ生きる力を引き出す「永田農法」で栽培されており、作物本来の風味や甘味が強いのが特徴。そして作物のトレーサビリティー、つまり栽培履歴を明確化し、安全性を保証するための取り組みを積極的に公開している点に支持が集まっている。

 エフアール・フーズの契約農家はおよそ600軒。作物は出荷前に、第3者機関による残留農薬検査と重金属検査を受ける。その検査結果で、国が使用を認めていない農薬や水銀が一切検出されないなど、SKIPが定める安全基準を満たしたものだけを販売する。SKIPのサイトでは上記のプロセスを細かく説明したうえで、栽培履歴を公開している。すべての作物について、育てた農家のリストが表示され、農家の名前をクリックすると、農薬の用途や使用回数が表示される。

●平易な言葉、自らの言葉で表現

 生産履歴を公開している企業は多い。しかし中には、検査結果を記した用紙をスキャンしてそのままウェブで公開している企業もあり、検査項目や数字を見ても、専門知識がなければ理解できない場合がある。SKIPが他社と大きく違うのは、安全基準や生産履歴を説明する際に、平易な表現を心掛けていることだ。例えば「減農薬栽培によってより高い安全性を目指します」といった表現ではなく「作物を育てる間に使う農薬をできるだけ有害でないものにする努力をしています。日々の天候など各地の生態環境にあわせて必要最小限を与えるにとどめています」といった具合だ。

 スタッフが自らの言葉でメッセージを発信している点も大きな特徴だ。サイト上には、SKIPのスタッフによる「産地レポート」のコーナーがあり、写真を交えながら、普段、消費者には見えにくい畑の様子や作り手の言葉を伝える。「大切な人に安心して食べてもらうために、どこのだれがどうやって作った野菜かを調べられること」。これがSKIPが考えるトレーサビリティーの定義だ。

 おいしさや安全性のほかに、楽しさを伝える努力も欠かさない。「作物がどんな素敵な土地で育ったのか、どう調理するとおいしいのかなど、ワクワクできる情報を伝える」(エフアール・フーズの森住美香・マーケティング担当)。楽しさを伝えるポイントとなるのが天明幸子氏のイラストだ。パンフレットやパッケージデザインなどにあしらわれ、SKIPの世界観を表現している。

 「SKIPでは良いことも悪いことも正直に言うようにしている」(エフアール・フーズの河野恵美・マーケティンググループ広報担当)。天候不良などが原因で味がいまひとつという場合は、メールマガジンなどでそれを正直に伝える。消費者の期待を裏切りたくないからだ。「『おいしい』『安全』『楽しい』に加え、『納得』がSKIPの4つ目の事業方針」(河野氏)。

 SKIPのコアメンバーは、以前ユニクロに在籍していたスタッフだ。もともと野菜については素人である。しかし、素人ならではの強みとして、常に消費者と同じ視点に立って仕事に取り組めるという点を自覚している。「食品業界の不祥事は、企業の視点が消費者から離れ“玄人”になりすぎた結果生じる」(河野氏)。SKIPスタッフは「もし自分が消費者だったら」と問い掛け続けながら、次の事業展開を議論していると言う。(伊東 郁乃)

■詳しくは日経デザイン5月号をご覧下さい。
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