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若者も惹きつける昭和の町並み“郷愁消費”

2003年1月29日
 東京都港区のお台場と言えば、若者のスポットという印象がある。しかし、ショッピングモール「デックス東京ビーチ」内には、突如として昭和30年代の町並みが広がる階がある。

 昨年10月に開業した「台場一丁目商店街」と名づけられたこのフロアには、赤い丸型のポストやマイカーブームの火つけ役として知られる「スバル360」が置かれ、店構えもすべて昭和30年代を再現した作りになっている。時代が平成に変わって15年目。なぜ今、昭和の町並みを再現したのだろうか。

 実は最近、この昭和の町並みを再現した施設がちょっとしたブームになっている。昨年7月に完成した「池袋餃子スタジアム」(東京都豊島区)と「なにわ食いしんぼ横丁」(大阪市港区)もそうだ。この2つはいずれもゲーム会社のナムコが仕掛けた「フードテーマパーク」と呼ばれる集合飲食施設だ。

世代を超えたアピールの努力

 餃子スタジアムは、昭和30年代の東京を再現した作りの中に全国のご当地餃子店が23店舗、食いしんぼ横丁は昭和40年代を舞台に、大阪ゆかりの食堂が20店舗入っている。どの施設も、休日ともなれば家族連れやカップルであふれんばかりだ。

 実際にこうした時代を過ごした人が、昔を懐かしんでやってくるのは予想がつくが、来場者には若いカップルも目立つ。年代を問わず集客する秘訣、その答えは意外なものだった。実はこれらの再現企画に携わった人のほとんどが、昭和30〜40年代の生活を体験していないというから面白い。つまり、未体験者が創造した世界なのだ。

 「たとえ昭和40年以後の生まれの人でも、脳裏にある共通の昭和30年代のイメージを舞台化したもので、実際はデフォルメされた世界だ」と台場一丁目商店街のデザイン・施工を担当した丹青社デザイン3部デザイナーの荒木崇氏は語る。

 一方、昔が記憶にある世代には、映画のポスターや店の看板などで既視感を与える。「時代を一番感じさせるものは、その時代の情報。乗り物やテレビ、そして話し声でも時代を感じさせることができる」とナムコのアートディレクターを担当した岩崎芳夫氏は語る。実際に食いしんぼ横丁には当時の家庭での会話を再現し流している。視覚だけではなく聴覚でも当時を思い起こさせようというのだ。

集客だけが狙いの施設も

 初年度の入場者数を両施設とも100万人と見込んだナムコだが、餃子スタジアムは4カ月、食いしんぼ横丁も5カ月であっさりとクリアした。台場一丁目商店街も年間270万人の来客を見込んでいる。今後もこの莫大な集客力を目当てに、同様の町並み作りをした新たな施設が登場することが予想される。現に大分県豊後高田市では、今も残る旧家屋を使って本物の昭和の町並み再現を試みている。

 しかし、吉田憲正氏(餃子スタジアム総合ディレクター)は「来場者にいかにお金を落としていってもらうかの仕組みが重要だ。ハードとして町並みを使うのはいいが、ソフトを充実させないと、単なる博物館で終わってしまう」と釘を刺す。

 この点フードテーマパークでは、テーマに沿ったご当地の店自身が出店し、本場の料理が味わえる。しかも入場料を含め1人1000円程度で楽しめる安さも魅力だ。一方、台場一丁目商店街は、単独での採算は二の次で、ショッピングモール全体での収益向上につなげることを狙っている。

 その時代を知る人・知らない人両方を惹きつけようという配慮が、集客に結びついていることは間違いない。ただ、カネを落とさせるためにはもう1つ魅力が必要なようだ。(白壁 達久)
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