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梶田政彦氏が語る 7つのアイデア“発創術”

2003年1月9日
 「なんちゃってシリーズ」、「バウリンガル」...モノが売れないと言われる時代に、次々にヒットを飛ばすタカラの梶田政彦氏(41歳)。今、最も注目されるヒットメーカーは、何を考え、どんな工夫をしているのか。アイデアを生みだし、そして実現する「発創術」を語ってもらった。

★7つのアイデア“発創術”
1.常識をあえて無視する
2.「楽しい」と思えることは何かを考え続ける
3.頭の中で3日間忘れなかった企画だけを真剣に考える
4.ヒット商品には必ず「売れる理由」がある。
 その理由を探し、詰めていく
5.消費者の変化、トレンドを知っているのは売り場。
 いろんな業界の売り場に聞いてまわる
6.自分が「いい」と思ってきたことでも必要ならば修正する
7.ただし、ひらめきや思いつきで変更しては駄目。
 そこには明確な「理由」が必要

 これまで商品を企画したことがない部下には、まず何が好きなのかを考えろとアドバイスします。自分のほしいものを掘り起こすと商品開発のきっかけをつかめることが多いからです。音楽が好きならば、音楽を聴いていて最も楽しいのはどんな状況なのか。その時に何があったらいいと思うか。

 その時は会社や社会の常識は無視しなければなりません。DVDやCDなど、音楽を再生する機械がつくりたいならば「うちは電機メーカーではないから無理」などと考えてはいけないのです。2000年8月に発売した「なんちゃってシリーズ」のビアサーバーも、そもそも僕がサーバーがほしかったからなんです。ここで「おもちゃ屋が何でビールサーバー? 」と思ったら、商品化されなかったでしょう。

 うちの社長(佐藤慶太氏)が本物の電気自動車を手掛けた時は「やられた」と思いました。対抗して「ではジェット機だ」と宣言し、実際に試算までしました。コストが800億円もかかるうえに、「操縦できる人が何人いるんだ」と呆れられました。でも、それぐらいでないと常識を超えるアイデアは出せません。

 アイデアは浮かんでから3日間頭に残っていたものだけを真剣に考えます。アイデアを出すことだけならだれでもできます。ただそのほとんどが思いつきです。だからまずは寝かせます。重要なのは商品がヒットすることです。冬場に浮き輪が売れないのと同じで、素晴らしいアイデアもトレンドやタイミングを無視したら売れません。ヒット商品にはヒットするだけの理由があります。「梶田はノリで仕事をしている」とよく言われるのですが、それだけでは駄目で、詰める段階では「売れる理由」に徹底的にこだわります。

 もし音楽玩具をやりたいならば、「なぜ今なのか」「なぜ売れるのか」をきちんと調べる。そこで売れる必然性が描けないとボツにします。タカラでは開発メンバー7人が週に1度ブレーンストーミングをしています。この3年間にお蔵入りになったアイデアは3万件にもなります。

 「売れる理由」を探す時、一番頼りにしているのが小売店の売り場です。僕自身、商品企画に異動する前は12年間営業をやっていました。「なんちゃってシリーズ」も、大半は現場にいたころ思いついたんです。最近はファッションやデジタルグッズの売り場の担当者にも意見や情報をもらいます。携帯電話のメモリーに入っている256人が頼りです。

 アイデアはどんどん修整します。ひらめきや思いつきで変更しないようには気を付けていますが、だれもが納得する理由があれば、5分前まで「白で行く」と言っていたことでも「ゴメン、黒にする」と言います。

 仕事って嫌だと思っているうちは進みませんし、アイデアも出ません。そのことを痛感したのが犬語翻訳機「バウリンガル」でした。

 実は僕は犬が苦手です。社長から「犬の声紋から感情を判別するソフトはある」と言われて仕方ないからやるかと始めた。ところがスタッフ全員、犬を飼った経験がなかったので商品化が進みませんでした。これではいけないと焦って獣医さんや飼い主に聞いて回り始めました。犬の気持ちを探るために、一日中「ワン」としか言えなかったらどうなるか試したりもしました。すると、飼い主が犬の気持ちを分かり合えれば楽しいだろうなと実感できたんです。そこからバウリンガルで「判別不可能」と表示されては、しらけて売れないだろうといったアイデアが出てきました。

 発売のめどがついた後、犬を飼い始めました。嫌いなものも、のめり込めば活路が開けるでしょう。


●さらに詳しい内容が、「日経ビジネス アソシエ」2月号でご覧いただけます。
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