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解説:ゲーム業界「合従連衡」末席確保への秘策

2002年11月26日
 ゲームソフト大手で人気ソフト「ドラゴンクエスト」シリーズを持つエニックスと、同じく「ファイナルファンタジー」シリーズを持つスクウェアが、2003年4月1日付けで、“対等の精神に基づき”合併することを決めた。

 和田洋一・スクウェア社長と本多圭・エニックス社長は、合併の目的として「世界最高品質のデジタル・コンテンツメーカーを目指す」と会見で口を揃え、ブロードバンド時代の到来を見据えた前向きの決断であることを強調。内製中心のスクウェア、外注主体のエニックスと製作手法や、互いの企業文化に違いはあるものの、「違いがあるからこそ補完関係を築ける」(本多社長)と合併の成功に自信をみせた。

 これまでに開発・発売を予定されている両社のタイトルに変更はなく、新会社が具体的にどんなゲームソフトを発売してくるかはまだ定かではないが、まずはオンラインゲーム市場に狙いを定めるようだ。

 既にスクウェアは国内で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション2」をプラットホームに、オンラインサービス「プレイオンライン」を展開中。出来るだけ早い時期に、北米でも「ファイナルファンタジー・オンライン」を始める計画だ。

 また、エニックスは既に中国や台湾市場に、パソコンベースのオンラインゲームを投入。携帯電話向けコンテンツも幅広く供給している。これら両者の力を合わせて、まだ未開の領域であるオンラインゲーム市場でナンバー1の座を目指すという作戦のようだ。

 とはいえ、存続会社はエニックスであり、合併比率もエニックス株1株に対し、スクウェア株0.81株を割り当てる形式をとる。「9月中間期で170億円の手元資金を確保しており、資金繰りに不安はない」と和田・スクウェア社長は強調するものの、大作主義を続けるスクウェアの資金繰りが業界内で不安視されてきたのは周知の事実だ。

 加えて、エニックスのオーナーで会長でもある福嶋康博氏と、スクウェアのオーナーである宮本雅史氏は、互いにゲーム業界の古参として肝胆相照らす仲。昨年春には、ナムコも交えてオーナー同士が互いの会社の株式を持ち合う提携を実現している。

 このため、豊富な手元資金を抱えるエニックス=福嶋氏が、資金繰りに苦しむスクウェア=宮本氏と相談し、エニックスがスクウェアを事実上、救済したのではという声が出るのは避けられそうもない。

 日本のゲーム産業は現在、再編劇の真っ最中。家庭用ゲーム機を発売しているSCE、マイクロソフト、任天堂は別として、ゲームソフト専業メーカーは、自社流通網を持ち、自社ブランドでゲームタイトルを発売する少数の「パブリッシャー」と、そのパブリッシャーに対して優れたソフトを供給する「ディベロッパー」へと二極化しつつある。

 有力パブリッシャーとしては、家庭用ゲーム機「ドリームキャスト」から撤退したセガとナムコを軸とする陣営、ハドソンなどを次々に傘下に収めたコナミ陣営が当確で、「残りの席はあと3〜4つ」と見られていた。今回の合併新会社は、残り少なくなった有力パブリッシャーの席を、必ずしも好調とはいえない両社で確保する秘策という見方もできる。(降旗 淳平)

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