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視点:「MS-Office」の巻---絶対的多数派閥を避ける道はあるのか?

2002年9月18日
 フリーランスを名乗っているが、私の仕事場は一応は会社組織になっていたりする。だが、経理を含めた日常業務はWindowsではなく、10年以上も前からMac OS上で処理されている。何と経理の帳簿は1992年か93年にリリースされた「Microsoft Excel」のバージョン4.0の書類がベースだ。マクロやリンクは使用しておらず、単に電子化しただけの帳簿なので、本当は更に古いバージョン2.2でも充分だったのだが、1999年12月31日と2000年1月1日をまたぐ書類に画面表示の不具合が発生したので、そのときに仕方なくバージョン4.0に移項したのだ。いわゆる2000年問題に似ているが、データそのものには何ら問題が無いので、もちろん1999年よりも以前の情報へのアクセスにも支障は無い。

 Excelのバージョン5.0や98もバージョンアップ料金を支払って持っているのだが、実際には使っていない。実はインストールすらしていなかったりする。そんなわけで、Excel 2000がリリースされたときは必要性が感じられず、予算面で厳しかったこともあり、バージョンアップは行わなかった。それでもExcelを選び、今でも使い続けている理由は、それが「無くならない」ソフトだと思うからだ。ちょっと消極的な動機だが、かつて華々しくリリースされた他の数々の表計算ソフトは、みな消えてしまったではないか。今は元気なソフトだって、この先を長く生き残れるかどうかは不安がある。

 最近、自分のメインマシンのシステムをMac OS Xに移行したら、Excel 4.0が起動できなくなってしまった。仕方なくExcel 98をインストールしてみたのだが、旧来のMac OSとの互換モードである「Classic環境」では使い勝手の悪さは否定できない。そこで、Mac OS Xにネイティブ対応しているExcel Xへのバージョンアップを検討せざるを得なくなった。Excel 2000は持っていないので、バージョンアップ対象に含まれるのは今回が最後のチャンスかもしれない。

 パソコンショップの店頭でバージョンアップ用のパッケージを手に取ってみると、Excel 98からはOKだが、やはり5.0は対象外だった。値段は2万円を少し上回る金額だ。そのままレジに向かおうとしたところ、ふと横に置いてある「Microsoft Office」のパッケージが目に付いた。何とExcel単独パッケージからOfficeへのバージョンアップも可能で、値段の差は数千円でしかない。これでは心が揺れてしまう。結局、この日は何も買わずに仕事場に戻った。

 最近は「Microsoft Word」の書類を当たり前のようにメールに添付する人が、私の周囲でも増えている。Wordを持っていない私は、愛用の他のソフトにインポートして閲覧していたのだが、新バージョンへの対応を中止したようで、数年前から読み込めなくなってしまった。クロスプラットフォーム未対応の社内LANでは、フロッピー経由でWindows機にコピーして、「ワードパッド」で開くしか手が無い。さすがに面倒なので「当方はWordの書類は開けません」と伝えたら、何とプリント・アウトがFAXで送られて来てしまった。レイアウトが崩れても内容の文章が読めれば充分なので、てっきりテキスト・ファイルが送られて来るものだと信じていたのだが、これは一種のカルチャー・ショックである。相手に手順を説明するのも大変そうなので、さっさと私がWordを導入した方が早道のように思えてくる。

 教訓1:圧倒的な多数派は、少数派の存在に無頓着になりがちだ。

 Word書類に対応するためだけにOfficeのパッケージを導入するのは採算性が悪い印象があるので、改めて新バージョンのOfficeの機能についての情報収集を開始した。使い勝手なども向上しているようで、持っていればそれなりに役立ちそうなのだが、ひとつだけ引っ掛かりを感じる点があった。Excel XもWord Xも、Office製品群の新バージョンは、Windows XPと同様にインターネット経由でのアクティベーションを行なう必要があるらしいのだ。もともとあまり気の進まない買い物なのに、あのシステムは何だか私を非常に不愉快にさせる。またしても立ち往生だ。

 このとき、別件でWindows機を買い足すプランが同時進行していた。購入時にOfficeのパーソナル版をプレインストールしてもらえば、1万円程度で最新版が入手できるではないか。 無理して何もかもをMacで済ませるはない。以前と比べればLANの速度は10倍以上になっているし、Mac OS XとWindows XPという組み合わせだったら、ファイル共有の相互乗り入れもシステム標準環境のままで大丈夫だ。

 最終的にメインマシンからOffice製品は排除され、メールに添付されて来るWord書類は、Samba経由でWindows機から開くようにした。1台のディスプレイをMacとWindowsで共用しているので、入力切り替えスイッチをひと押しするだけのことだ。事前に考えていた程は不便ではない。

 ついでというワケではないが、メールソフトもOutlook Expressから別のものに乗り換えたので、メインマシンに残っているMicrosoft製品はInternet Explorerだけになってしまった。Webブラウザも他の候補は何種類か存在するので、いつでも乗り換えは可能だ。それよりも、社内の経理ファイルの脱Excel化を検討しなければならないかもしれない。プレーンなテキストやCSVファイルなどはOSやアプリケーションに依存しないが、機能的には今ひとつ時代遅れという感も否めない。ここはやはりXMLベースにするのがベストだろうか…

 教訓2:特定のOSやアプリケーションに依存し過ぎると、自由が束縛される

●著者:折中 良樹(フリーランス・ライター)
早稲田大学大学院(ロシア文学)中退。角川書店書籍編集部バイト、アスキー出版局契約社員を経て、1990年にフリーとして独立。何となく周囲に流されて、いつの間にか業界の王道を歩んでしまったらしい。近著に「NortonファミリーでMacを守れ!」「Mac OS X & 9 簡単LAN入門」「Mac OS Xのトラブルバスター」「電子メールのトラブル解決Q&A」(いずれも広文社)ほか多数。
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