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「携帯電話」の巻(2)---次世代キーボードはテンキーだけになるのか?

2002年8月30日
 妻が携帯電話を買いたいと言い出した。以前は「ヒモ付き」になるのはイヤだと言って、職場でも断固拒否の姿勢を貫いていただけに、意外な展開だ。聞けば、子供の幼稚園の母親同士の連絡に、今や携帯メールは必須アイテムらしい。

 相談を受けた私は、迷惑メールの多さにかこつけて、第1候補にJフォン、第2はauを提示した。本心は、自分の携帯電話がドコモで、周囲にもドコモのユーザーが多く、auユーザーは1名しか知らないからだ。ここのところJフォンは元気なようだし、使っている知人は皆無なので、仕事上の研究対象としての興味を持っていたのだ。カメラ機能は不要とのことなので、機種に関してはデザインの好みで選べばいいだろう。型落ち品なら安価で入手できるだろうから、次の休日にでも一緒にショップへ行ってみるとしよう…。

 ところが妻は翌日、新聞広告の切り抜きをヒラヒラさせながら、「コレにする」と言う。見れば、新聞社とのタイアップで、auの携帯電話が無料で入手できるらしい。信用できそうな広告だし、ショップに行く余裕が無いのなら、それも悪くはないだろう。とりあえずFAXで資料と申し込み書を取り寄せ、機種と色の希望を検討することにした。

 数日後に宅配便で届いた機種は第1希望のものだったが、生憎と色の方は第3希望の地味な黒色だった。だが、半年前に発売された機種だし、生意気にもGPS機能を搭載しており、その他の基本的な機能は申し分ないようだ。腹立たしいのは、1年拘束の割り引きにより、5年超の割り引きが適用されている私よりも月額料金が安い点だ。キャリアが違うとは言え、どうにも釈然としない。

 箱を開いた妻は、すぐに使ってみるのかと思ったら、いきなり私に手渡して、初期設定をしろと言い出す。とりあえず充電をしながらマニュアルをパラパラと見て、主だった友人達の電話番号やメールアドレスを登録していく。本人のアドレスは文字数が多いが覚えやすいものを考え出した。ざっと一通り触っていると、パソコンによるインターネットと古代の遺物のような通話専用携帯電話を常用している私には、外部ディスプレイとフルサイズのキーボードを接続したくなってくる。

 教訓1:最近の携帯は便利な電話ではなく、不自由なパソコンだ。

 翌日にはメールが届き始めたようで、閲覧方法が分かりにくいなどとボヤいている。それが済むと今度は返信の方法だ。とりあえず大まかな手順を教えて放っておくと、しばし後に「パソコンで返信しておいて」などと言い出す。テンキー入力に馴染めないのかもしれないが、それでは導入した意味が無いではないか!

 それでも1週間も経つと、それなりに使いこなせるようになってきた。疎遠になっていた郷里の同級生との交流が復活するという意外な効用もあったようだ。

 だが、ある日、街を歩いていて携帯ショップの前を通ったところ、1円や5円で販売されている機種を見て、「あっちの方が入力しやすそうだ」などと言って怒っている。そう、世間には契約獲得のために、新規ならタダ同然で入手できる携帯電話が多く存在していることを、妻は知らなかったのだ。とりあえず、機種交換は安くないし、新規で乗り換えると1年拘束割り引き契約の違約金を請求されることを告げ、その場をやり過ごすことにした。

 教訓2:携帯電話の導入は商品の購入ではなく、サービスの利用契約だ。

 しばし黙り込んでいた妻は、再び歩き始めると同時に言った。「アナタが機種交換するときに、取り替えっコしようかな」と。転んでもタダでは起きないつもりらしい。

●著者:折中 良樹(フリーランス・ライター)
早稲田大学大学院(ロシア文学)中退。角川書店書籍編集部バイト、アスキー出版局契約社員を経て、1990年にフリーとして独立。何となく周囲に流されて、いつの間にか業界の王道を歩んでしまったらしい。近著に「Mac OS Xのトラブルバスター/強制終了・リセットする前に読む本」「Mac OS X 徹底使いこなし術」「電子メールのトラブル解決Q&A」「Mac OS システム入れ替え・アップグレードする前に読む本」(いずれも広文社)ほか多数。
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