視点:「カーナビ」---いずれは運転も代行してくれるのか?
2002年7月31日
もともと私は運転が好きではないので、初めての場所で知らない道をたどって目的地を目指すことは、多大なストレスになる。可能ならば、事前に徒歩で下見をしておきたいくらいだ。更に渋滞が加わるのなら、予定をキャンセルしたい衝動に駆られてしまう。
だが、カーナビがあれば、道案内と渋滞情報は何とかなるはずだ。混んでいる道を避けて案内してくれるのだったら、非常に有り難いことだろう。実は、大昔に1ヶ月程カーナビを試用した経験がある。F1のジャン・アレジが宣伝していた頃だから、かなり前の黎明期だ。借りたのは都道府県別のメモリー・カードを差し換えて使うコンパクトな製品で、すぐにエリア外に出てしまう点は笑えたし、細かい道も載っていなかったが、触っていて楽しく、漠然とした将来性が感じられた。
その後の技術の進歩は目覚ましいものがあり、今はハードディスク搭載機が旬らしい。勝手に携帯電話を使われるのは愉快ではないが、私の不得意分野を補ってくれるのだから目をつぶろう。とは言え、個人のサイフには決して安い買い物ではない。妻は「車を買い替えれば、オマケで貰える」などと言うが、それでは肝心の旅行の予算まで無くなってしまうだろう。
そんなとき、ネット上の知人が360キロの彼方から訪ねて来るという。私の仕事場の周囲は道が複雑で目標物が少ないため、詳しいルートを教えようとしたところ、「最新のDVDナビがあるから大丈夫」だと断られてしまった。私としては勝手に実験を担当してもらっているようで、結果には興味津々である。無事に到着の暁には、良く見せてもらうことにしたい。
結果、当人は予定通りの時刻に到着。途中で道を尋ねる電話をかけてよこすこともなかったのは感心だ。これは合格かと思ったら、実は少々問題が起きていた。車は数百メートル手前で停めて、そこから歩いて来たらしい。何と、カーナビの示した道は幅が狭すぎて、コーナーを曲がれなかったとのこと。仕方なく仕事場に備え付けの地図を見せて、3ナンバーでも進入できる広い方のルートを伝えた。
この一件により、盛り上がっていた購入意欲は一気に興醒めしてしまった。考えてみると、私は運転は嫌いだが、地図を見るのは大好きだ。放っておけば何時間でもロードマップを眺めている。道案内も得意なので、できれば助手席に乗りたい。ナビゲーターの役割は一種の知的ゲームのようでもあり、自分がカーナビよりも賢いことを立証したいという潜在的な欲求を持っているのかもしれない。まあ単に、機械にアレコレ指し図されたくないだけなのかもしれないが…。
教訓:ペーパードライバーの妻を特訓する方が、カーナビよりも安上がりだ
結局、カーナビは買わないことで落ち着きそうだが、妻のトレーニングの方も保留のままになっている。きっと今年の夏も自分で運転し、道に迷い、そして渋滞にハマり込むことだろう。そのときにまた思うハズである。「カーナビが有れば…」と。
●著者:折中 良樹(フリーランス・ライター)
早稲田大学大学院(ロシア文学)中退。角川書店書籍編集部バイト、アスキー出版局契約社員を経て、1990年にフリーとして独立。何となく周囲に流されて、いつの間にか業界の王道を歩んでしまったらしい。近著に「Mac OS X & 9 簡単LAN入門/ちょ〜低予算でMacもWindowsもつながる本」「Mac OS Xのトラブルバスター/強制終了・リセットする前に読む本」「電子メールのトラブル解決Q&A」(いずれも広文社)ほか多数。
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