L判写真を3秒で印刷する昇華型ヘッド開発
2002年7月26日
現在、制御用ASIC(特定用途LSI)を開発中で、2003年に新型プリンターとして実用化する計画。DPE店を約1200店展開するプラザクリエイトが、この新型プリンターをデジタル写真印刷用に採用する計画であるほか、サイバーグラフィックスでは消費者用の小型モバイル・プリンターの商品化を企画している。
●印刷時間を5分の1に
現在の写真印刷用昇華型プリンターの印刷速度は、プリンター・エンジンを複数台搭載する業界最速プリンターでも、Lサイズ写真1枚当たり15秒程度。サイバーグラフィックスが開発中の昇華型プリンターは、デジタル写真印刷サービスにおける最大の問題点と言われる印刷時間をこれまでの約5分の1に短縮した。このため、新方式の昇華型プリンターをDPE店などに設置すれば、撮影したデータをその場で待たずにプリントする、といったサービスが可能になる。
また、既存の高速デジタル写真プリンターとしては、DPE店が導入しているレーザー方式の「ミニラボ機」があるが、ミニラボ機の価格は1000万円以上が一般的。DPE店がデジタル写真印刷サービスを始めるためだけにデジタル対応のミニラボ機を新調するのは、大きな負担になっている。それに対してサイバーグラフィックスでは、業務用の昇華型写真プリンターを200万〜300万程度で製品化する予定であり、この価格帯ならばDPE店にとって導入コスト負担が小さい。Intelligent Thermal方式の昇華型プリンターが実現すれば、デジタル写真印刷サービスが消費者にとって今以上に身近なものになるのは間違いない。
●全プリンタヘッドの温度を監視する新方式
このIntelligent Thermal方式が高速印刷を実現するための鍵となる技術を実装したのが、新方式のサーマルヘッドである。新方式の特徴は、全ヘッドの温度を監視しながらヘッドの温度制御を実行すること。
そもそも、インクリボン上の固形インクを熱で昇華させ紙に定着する昇華型プリンターでは、色の階調(濃淡)は、サーマルヘッドがインクリボンに伝える温度(正確にはエネルギー量)によって変化する。つまり、昇華型プリンターの色の正確さは、サーマルヘッドの温度制御正確さ次第である。
現在主流である「履歴制御方式」のサーマルヘッドは、温度は監視せずに、経験値に基づく計算に従って、ヘッドの温度をおおまかに制御している。そのため、わざと印刷速度を落として、ヘッドが一定温度まで冷却される時間をとることで、色のバラツキが起きないようにしている。
これに対して、「温度情報に基づくフィードバック制御を実行するIntelligent Thermalは、正確な温度制御が可能であるため、速度を落とさず印刷できる」(サイバーグラフィックスの福島格常務)という。福島常務はIntelligent Thermalの開発責任者だ。
Intelligent Thermalでは、温度を正確に監視するために、ヘッド(発熱体)の素材として、温度によって電気抵抗値が変化する「サーミスタ」を採用した。これにより、ヘッドの構造自体は従来と同じままで、電気抵抗をチェックするだけで温度が監視できるようになった。この技術は、福島常務がNEC在籍時から開発してきた技術であり、「NEC時代を含めて18年がかりで、全く新しいサーマルヘッドを実現できた」と述べている。
なおIntelligent Thermalは、印刷時間が短く、また正確な温度制御による無駄な発熱が無いため、消費電力も従来型のサーマルヘッドの40%であるという。福島常務は「業務用プリンターだけでなく、Intelligent Thermalの省電力製を活かして、乾電池駆動のモバイル・プリンターなども開発したい」とコメントしている。(中田 敦)
■関連情報
・サイバーグラフィックスのWebサイト http://www.cybergraphics.co.jp/
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