視点:「MP3プレーヤー」---本当にハイテク新商品の方が便利なのか?
2002年7月18日
もちろん、言外に私がCDからカセットテープにダビングするというプロセスが含まれている。「その手には簡単に乗るものか」というわけで、私はポータブルCDプレーヤーを推薦してみた。だが、この提案は簡単に却下されてしまった。CDでは、続きを聞くときに不便だそうだ。確かに長時間の「ポーズ」状態は機器に負担がかかるし、電池の消耗も激しい。かといって「停止」してまうと、同じ場所から再生するのに苦労する。妻の性格からいって、停止時にトラック番号を覚えておけと言っても、無理な相談であろう。だいたい、たいていの英会話のCDには、99個ものトラック数があるのだ。
だったら、ここはやっぱりMP3プレーヤーということになる。英会話なら最高度の音質は不要だし、パソコンを使ってCDからフラッシュ・メモリーに転送するのは、カセットテープにダビングするよりも簡単だ。たぶん、続きを再生するくらいの機能は搭載されている機種もあるだろう。妻にとって第2の提案は「ナニ、それ?」状態だったので、私は勝手に市場調査に取りかかることにした。
大手家電量販店に行ってみると、多種多様なプレーヤーが並んでいる。値段の幅も大きい。個人的な趣味としてはアップルのiPodが欲しいのだが、値段も高く、オーバースペックだ。かといって、廉価な製品はメモリーの容量が小さいので、結局は買い足すことになってしまう。さすがに即決はできなかったので、その日は候補となりそうな製品の実売価格をメモして、カタログを何点か持ち帰った。
できれば、私自身が使うときのことも考慮して購入したい。家に帰ってカタログを子細に検討しいると、台所に立つ妻から追加の要求仕様が提示された。何と、家ではスピーカーで聞きたいとのこと。まあ、家事労働中にイヤホーンのコードは邪魔かもしれない。だとすると、アンプ内蔵のスピーカーも必要か…。
だが、食卓に着いてもアレコレ思案している私に向かって、妻は言い放った。「カセットをラジカセに入れ替えれば、続きが聞けるじゃない!」
う〜む、その通りだ。で、恐る恐る英会話のCDの枚数を確認すると、たったの3枚だとのこと。ちょっと拍子抜けしてしてしまった。
教訓:旧来のアナログ製品にも、あなどりがたい長所があるものだ。
後日、近所のスーパー(!)でアイワの製品を購入。1,980円也。デジタル化やランダム・アクセス性に目を奪われがちな昨今、用途によってはアナログやシーケンシャル・アクセスの方が適していることを思い知ったのであった。
●著者:折中 良樹(フリーランス・ライター)
早稲田大学大学院(ロシア文学)中退。角川書店書籍編集部バイト、アスキー出版局契約社員を経て、1990年にフリーとして独立。何となく周囲に流されて、いつの間にか業界の王道を歩んでしまったらしい。近著に「Mac OS Xのトラブルバスター/強制終了・リセットする前に読む本」「Mac OS X 徹底使いこなし術」「電子メールのトラブル解決Q&A」「Mac OS システム入れ替え・アップグレードする前に読む本」(いずれも広文社)ほか多数。
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