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ユニクロ玉塚次期社長が語る「個の時代」への変化

2002年7月8日
 今年5月7日に東京証券取引所(東京・中央区)で行われたファーストリテイリングの社長交代会見には、誰もが驚かされた。今年11月、柳井正社長が社長を退き、会長(最高経営責任者=CEO)に就任するのはもちろんだが、それ以上に衝撃だったのが後任社長に、40歳の玉塚元一常務(現在は副社長)が就くことになったからだ。

 玉塚氏は旭硝子、日本IBMを経て、1998年、ファーストリテイリングが実施した役員公募で入社。マーケティング部長としてユニクロの斬新な広告戦略を展開し、大ブームを巻き起こした。さらに、英国出店を成功させるなど、多大な実績を上げた。

 当初、柳井社長は沢田貴志副社長に社長就任を打診したが、沢田氏が辞退(この5月31日で退社)。そこで、玉塚氏に白羽の矢を立てた。本誌の連載で柳井社長は指名の理由を「様々な実績に加え、現場と一緒になって働くことができるし、したたかさも持っている」と説明している。

 次期社長の玉塚氏とはどんな道を歩んできた人物なのか。今何を考え、苦戦するユニクロをどう盛り上げるつもりなのか。独占インタビューした。

 今年11月、40歳の若さで社長に就任されます。
 社会人になった時から漠然とですが、会社経営には興味がありました。モノ作りが日本の産業の根幹だと思っていたので、大学卒業後はメーカーに就職しようと考えました。私は大学でラグビーをやっていたのですが、仲間の多くは商社や金融機関に就職したので、少し変わっていたかもしれません。

 1985年、旭硝子に入社しました。工場に配属になったのですが、将来マネジメントを担える力を付けたいと思い何をすべきかを考えました。とりあえず、英語と財務会計知識がなければ話にならないので、語学学校などに通うなど、勉強を始めました。

 ただ勉強するだけではなく海外駐在を希望しました。英語でビジネスを実際にしたかったんです。2年後、工場から本社に異動してからも、上司にその意思を伝え続けました。もちろん本業で成果を出さなければ海外駐在などできませんから、仕事は精一杯やりました。幸い、入社4年目でシンガポールに赴任でき、4年間化学品の営業を担当しました。これで英語は多少なりとも自信がつきました。ただ、経営を担える人材になるには、もっと力を付けなければならないとも感じていました。そこで、社内留学の試験を受け、96年から2年間、米国に社費留学させてもらいました。留学先では猛勉強しましたよ。

 米国でMBAを取得されましたが、印象的だったことは何ですか。
 まず、日本の会社はゆがんでいるということです。株の持ち合い、年功序列などが横行し、本来株式会社の経営者が求められている、会社の価値を上げて、株主に報いるという責任を果たしていなかった。それだけに、将来日本では会社の価値を上げられる経営者が不足すると思いました。それで、尚更そうした責任を果たせる人材になりたいと思いました。

 帰国後、旭硝子を退社したのは経営にかかわりたいという自分の望みを叶えるまでに、かなり時間を必要とすると判断したからです。

 玉塚さんの社長就任について経験不足を心配する声もあります。
 確かにそれは私の弱点だと思います。これからもっと経験を積まなければなりません。ただ、柳井が最高経営責任者(CEO)として補ってくれますから、チームとしては問題はありません。経験不足を補う体勢を築ければ、若い社長でも問題ないでしょう。今はスピードが求められる時代ですから、経営者は現場に入り込んで直接顧客や従業員の声を聞き、会社の実態を把握しなければなりません。そして、迅速に改善を進めなければならない。それには気力や体力が必要で、若さを生かせます。これができれば若くなくてもいいわけです。

 社長になるからといって、おごった気持ちなどはまったくありません。謙虚に仕事に取り組むつもりです。社長になるということは覚悟することだと思います。会社の価値を上げると約束する。社員をまとめ、リードして結果を出す。だめなら責任を取る、ということです。

 責任を求められるのは何も経営者に限ったことではありません。一般社員でも同じです。「ファーストリテイリングは強い“個”の集団でなければならない」といつも社員に話しています。問題解決できるのは自分しかいないんです。会社や上司に頼ってもだめ。自己責任で仕事に取り組まなければなりません。

 強い“個”となるにはどうすればいいのでしょう。
 まず、漠然とでもいいから個人の目標を立てることです。3年、5年、10年後に自分はどうなっていたいかをイメージする。そして、その実現を意識して仕事内容や職場環境、職種などを日々見直していくんです。必要ならば、上司に異動を訴えてもいい。

 ただし、与えられた仕事で成果を出すことも重要です。ともすれば、異動で厳しい環境から逃げたくなりますが、これでは力がつかないし、そもそも目の前のことをできない人が夢を実現できるわけがない。与えられた仕事で成果を出しながら、自分のやりたいことを実現しようとすることです。何事もバランスが大切。私はいつもそれを心がけています。

●さらに詳しい内容が、「日経ビジネス アソシエ」8月号でご覧いただけます。
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