視点:「光学式マウス」---清掃不要で仕事の能率はアップするのか?
2002年6月28日
マウスの仕様変更には難癖を付けたがる人もいるが、改善なら私は大歓迎だ。最初は戸惑うが、馴染めば古いマウスには戻れない。
そんなわけで、光学式マウスが登場したときは大いに期待した。ボール式は内部が汚れると動きが渋くなってイライラさせられるため、原稿を書き始める前の掃除が習慣になっていたほどだ。この手間から解放されるかもしれない。
たまたまマイクロソフトのインテリマウス・エクスプローラーを試用する機会があり、購入を検討するためには願ってもないチャンスだと喜んだ。だが、これは私の手には大きすぎ、気になって光学式の使い心地までは気が回らないという結果に終わってしまった。
後日、新しいパソコンを購入したところ、光学式マウスが標準添付されていた。サイズも手ごろで、握った感触やクリック感も悪くない。しかし、しばらく使っていると、妙な挙動を示すことに気付いた。いきなりポインタが遠くに跳んでしまったり、ときどきスリープ状態になるのか、数秒間フリーズしたように動かなくなることもあった。それより何より、グラフィックスなどを扱う場面で、1ピクセル単位の微妙なコントロールが上手にできないのだ。
不調の原因がマウスそのものにあるのか、ソフトのせいなのかは不明。古いマウスを使おうにも、インタフェースが違うので試せない。他のパソコンには接続できたが、短時間なので不調は実感できなかった。
ある日、執筆中の単行本で使う数百点の画像データをトリミングしていて、ついに私はキレてしまった。即座にボール式マウスを購入すべく、パソコン・ショップに向かう。他の光学式マウスは良いのかもしれないが、今は買う気になれない。
選んだのは卵くらいの小振りの製品で、価格は1,780円也。光学式全盛の昨今、ボール式は安いのだ。2日間は違和感があったが、3日目には気にならなくなった。妙な挙動も現われないし、今さらながらホイールの便利さも実感している。
さて、改めて1ピクセル単位の制御を試してみると、私は指先に微妙なヒネリを加えてボールをコンマ何ミリか転がしていたようだ。そのとき、微かな振動が指先にフィードバックされる。光学式で無意識に振動を期待しても、上手にコントロールできないのは当然だろう。
別の発見もあった。掃除の時間は貴重だったのだ。汚れを取り除いている間にモチベーションが高まっていくのは、作家が執筆前にナイフで鉛筆を削る心境と同じかもしれない。まあ、私の場合には単なる現実逃避だと言われても弁解の余地はないのだが…。
教訓:弘法大師ではない凡人は、筆を選んだ方が良いかもしれない。
●著者:折中 良樹(フリーランス・ライター)
早稲田大学大学院(ロシア文学)中退。角川書店書籍編集部バイト、アスキー出版局契約社員を経て、1990年にフリーとして独立。何となく周囲に流されて、いつの間にか業界の王道を歩んでしまったらしい。近著に「Mac OS X & 9 簡単LAN入門/ちょ〜低予算でMacもWindowsもつながる本」「Mac OS Xのトラブルバスター/強制終了・リセットする前に読む本」「電子メールのトラブル解決Q&A」(いずれも広文社)ほか多数。
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