難航する自転車の中国生産
2002年6月27日
国内の自転車メーカーが中国へ生産をシフトしはじめたのは90年代初頭。組み立て工程など人手に頼らざるを得ない商品の特性もあり、この10年で、ほとんどのメーカーが生産のほぼ100%を移管した。ただ、自前の工場を構えているケースはまれで、現地の自転車メーカーと提携して生産委託しているのが一般的だ。この現地メーカーの技術水準が総じて向上しないのだという。
「何しろ中国の自転車生産台数は年間2500万台と世界一。現地生産を軌道に乗せるうえで大きな障害はないだろうと思っていたら、大間違いだった」と話すのは、英国ジャガー社のブランドを使ったスポーツ用品の製造販売を手がけるジャガー・スポーツ(東京都品川区)の河野敏旺社長だ。
同社は自転車分野に進出するため、昨年春から上海で委託生産を始めたが、品質が安定せず、提携先を2回も変更。不良率が3%を切り、問題のない水準の歩留まりを確保できるようになったのは今年に入ってからだ。
現地企業のレベルが往々にして低いのは作業が雑だからだ。例えば、部品工場から届いたスポークの長さが微妙に違うくらいなら、平気で車輪を組み立ててしまう。ちょっと日本の常識では考えられないようなずさんさだ。
その理由として、河野社長は「中国の自転車業界では、自転車は安かろう悪かろうでいい、という考え方が常識となっている。だから、日本側の責任者が指導しても全く話を聞かない状態になっている」と語る。
そもそも中国では「自転車は修理しながら使うもの」と思われている。上海など大都市を除けば、いまでも街の至る所に「自行車攤」と呼ばれる自転車の修理屋がある。「フレームが折れない限り、こちらでは自転車が壊れたとは言わない」と話すのは江蘇省在住の女性だ。「長年そうした市場を相手に商売を続けてきた企業に対して、短期間で品質を上げろといっても難しい。しばらくの間は、現地と日本の双方でしっかり検査して、品質を維持するしかない」(河野社長)。
このように中国流の生産スタイルがあらかじめ確立している製品は、生産移管に手こずるケースが少なくない。そうした製品の生産をシフトする際は、より入念な準備が欠かせないといえる。(鈴木 信行)
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