視点:「ADSL」は、ただ速ければ快適なのか?
2002年5月30日
驚いたことに、1カ月のアクセス時間は3時間前後だった。多い月でも5時間、少ない月では1時間未満のこともある。プロバイダーの料金が1000円とINS通信料が約900円で、消費税を入れても2000円に満たない。プロバイダーを変更しないでADSLに切り替えた場合には、諸々含めて月々4000円程度の支払いとなる。もっと安いプロバイダーもあるのだが、今のメールアドレスを残そうとすると、価格差は小さくなってしまう。
結局、このときは2倍の経費を支出する意義が見出せず、投げ売りされていた中古のダイヤルアップ・ルーターを激安で購入し、複数のパソコンからの使い勝手を改善しただけで終わった。
数カ月後、友人宅で丸1日パソコンを使う機会があった。インターネットは8MbpsのADSLだが、実効速度は2Mbpsも出ていない。しかし、悔しいことに快適なのである。翌日、コスト200%のことも忘れて、Web上で申し込みをしている自分を発見することになった。いったんスピードを体験してしまうと、知る以前には戻れないのである。そこで・・・、
教訓1:支出を控えたいのなら、速いマシンに触れてはいけない。
数週間後にADSLが開通すると、お約束のようにスピード計測や動画配信のサイト巡りをする。局からの距離の割には高速のようだ。だが、そんな楽しみにも数日で飽きてしまい、ほとんど前と同様のネット生活に戻ってしまった。メールチェックの間隔は短くなったが、アクセス時間は1.5倍に増えた程度のものだ。宝の持ち腐れかもしれない。
それでも大きな違いはある。ダイヤルアップの時代に感じていた、アクセス中の急かされるような感覚が無いのだ。当たり前だ。NTTの通話料やINS通信料は時間による従量課金だが、ADSLでは時間無制限の定額制なのだから。この違いは精神の健康にとって非常に良い影響がありそうだ。
もちろんスピードが速ければ快適だが、少しくらい遅くても、定額制であることの方が大切かもしれない。してみると、「フレッツISDN」は画期的なサービスだったと言えるだろう。もしもプロバイダー料込みで1500円程度で提供されれば、今でも充分に魅力的かもしれない。そこで・・・、
教訓2:「時は金なり」のシステムは、ストレスの元になる。
ちなみに、かの友人宅には先日FTTH(fiber to the home)サービスが開通したそうである。よほどの重要な用件がない限り、当面は訪問しないように気を付けねばなるまい。
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●著者:折中 良樹(フリーランス・ライター)
早稲田大学大学院(ロシア文学)中退。角川書店書籍編集部バイト、アスキー出版局契約社員を経て、1990年にフリーとして独立。何となく周囲に流されて、いつの間にか業界の王道を歩んでしまったらしい。近著に「Mac OS Xのトラブルバスター/強制終了・リセットする前に読む本」「Mac OS X 徹底使いこなし術」「電子メールのトラブル解決Q&A」「Mac OS システム入れ替え・アップグレードする前に読む本」(いずれも広文社)ほか多数。
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