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みずほ、別の「システム問題」

2002年4月16日
 よもや足並みの乱れが、ここまで露呈するとは経営陣も予想していなかったのだろう。旧第一勧業銀行、旧富士銀行、旧日本興業銀行を再編したみずほフィナンシャルグループを出迎えたのは、銀行としてあまりに基本的な決済機能を担うオンラインシステムの障害だった。

 公共料金の引き落としといった口座振り替えのうち、期日までに終了しなかった取引が相次ぎ、一連のトラブルの責任を問う声まで出た。旧3行の足並みの乱れは、それだけにとどまりそうにない。システム障害を巡る責任論が、さらに影響を及ぼしそうな問題がある。その問題とは、旧富士銀行が中心となって設立したインターネットの仮想商店街である「エムタウン」(東京・中央区、片桐正社長)と、ネット専業支店である、「みずほ銀行エムタウン支店」の行方だ。

 電子商店街を展開するエムタウンは、みずほフィナンシャルグループが資本金32億円のうち計14.85%を出資し、残りを第一生命保険や野村ホールディングス、伊藤忠商事といった金融業や電子商取引(EC)事業を手がける企業計44社が共同出資。2001年1月に営業を開始したばかりだ。

 みずほグループは、エムタウンの営業開始と同時にECに対応した決済サービスを提供するため、ネット専業支店の「富士銀行エムタウン支店」を開設。エムタウン支店は、ネット上で実際の銀行支店とほぼ同じフルバンキングサービスを標榜し、口座の開設や給与振り込み、公共料金の引き落としに加え、定期預金や外貨預金、住宅ローンまでも取り扱う。旧3行の合併に伴って、みずほ銀行エムタウン支店に改称した。

 ネット専業の銀行支店であるエムタウン支店は、UFJ銀行のインターネット支店よりも営業開始が5カ月先行。そのかいあってか、口座数は約10万件と、約1万件にとどまっているUFJを大幅に上回る。

●サービスの重複も否めず

 しかし、みずほグループの内部ではエムタウンをこのままの形態で事業を継続することに異論が少なくない。「コストに見合う収益を上げていない」との厳しい評価があるためだ。

 支店開設に伴うシステム開発費は20億円に上っていた。しかし、開業1年余り経ってもローン残高は伸びず、数千万円にとどまっているもようだ。さらに、ネット専業支店として既存のコスト体系から独立してサービスの提供を目指すとしているエムタウン支店は、普通預金から口座振り替えなどの機能を取り除いた貯蓄預金の金利を一律0.06%(預入金額10万円以上の場合)と、みずほ銀行の0.03%と比べて倍の格差を設定している。しかし、金利格差はコスト高にも映る。

 その一方で、みずほグループには旧第一勧業銀行と旧富士銀行が母体のインターネットを通じた同様の機能があり、金利や投資信託の品揃えなどの違いを除けば、サービスの重複は否めない。このため、エムタウンをこのまま継続するのではなく、「何らかの形で収束させる方向」(関係者)で話し合いが緒に就いたばかりだったという。

 ところが、ここで降ってわいたオンラインシステム障害。担当役員である石坂文人・みずほホールディングス専務執行役員は、旧富士銀行の出身。それだけにエムタウンに対する風当たりはさらに強まりかねない。トラブルへの責任追及とは別に、銀行内ではエムタウン支店の事実上の閉鎖やエムタウンのEC事業を既存の企業に吸収させるといった案が浮上しているという。

 他方、旧富士銀行の関係者からは「仮想商店街を展開するエムタウンと、銀行の1店舗であるエムタウン支店の区別がついていない人もグループ内にいる」と、採算のみを問題視した議論に反論する声も漏れてくる。エムタウンの行く末は、システム障害に揺れたみずほの迷走を象徴することになるのだろうか。     (大豆生田 崇志)
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