ソフトバンク、宴の後始末
2002年2月11日
ソフトバンクはこの場で2つの大きな戦略転換を打ち出した。出席者によれば、孫社長はスクリーンに大きく映し出された中期経営計画の概要を背に、「ソフトバンクはブロードバンド(高速大容量)のナンバーワン企業になる」と切り出した。
もう1つの戦略転換は、キャッシュフロー経営への回帰だ。席上、孫社長は「企業の本質的企業価値は、これから生み出すフリーキャッシュフローが決める」と重ねて強調した。
1999年1月からスタートした、前回の中期経営計画「V10」は企業価値(=株式時価総額)の極大化がテーマで、目標はズバリ時価総額10兆円だった。今、時価総額経営は行き詰まり、転換に追い込まれた。
孫社長を土俵際まで追い詰めたのは資本市場である。2000年に一時はトヨタ自動車を上回る20兆円もの時価総額を記録したが、今やピーク時の30分の1の水準まで下がった。社債市場でも、格付け引き下げの動きが相次ぎ、事実上、追加の資金調達が難しくなった。
2月15日、ソフトバンクグループの投資会社、ソフトバンク・インベストメント(北尾吉孝社長)が東京証券取引所第1部に上場する。同社は既にナスダック・ジャパン市場に上場しており、東証へは重複上場となる。
東証上場の理由を同社は「ナスダック・ジャパン市場の流動性が乏しいため」と説明するが、実は、ソフトバンクは保有株の売却によって資金を手に入れたいのだ。グループの金融統括会社ソフトバンク・ファイナンスは、子会社であるソフトバンク・インベストメントの保有株5万株を売却し、85億円の資金を手に入れる。まさにこれが目的である。
ソフトバンクは「純有利子負債を3月末までに1900億円に減らす」(笠井和彦取締役)と説明するが、同社は2005年までに単体だけで毎年400億〜500億円の社債償還を予定している。
さらには、ソフトバンク・インベストメントのベンチャーファンドの大半が2005年に契約を終了する。このときに運用成績がわかるが、今回本誌が入手した内部資料を分析したところ、含み損を抱えたファンドが多い。状況を好転させるのは至難の業だ。
株価を最重視する時価総額経営から、営業キャッシュフローを優先する経営に転換せざるを得なかったソフトバンクは、今まさにネットバブルの宴の後始末に追われている。
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