セガ、他社ゲーム機へのソフト提供の可能性を否定
2000年11月16日
セガは2000年11月15日、報道機関向け事業説明会を開催し、他社製ゲーム機へのソフト提供の可能性を否定した。11月1日の投資家やアナリスト向けの説明会以降、携帯ゲーム機などのソフトを開発する可能性が噂されてきたが、「(セガの子会社であるゲームソフトの)開発会社はすべて、『ドリームキャスト』(DC)用のソフト開発に全力を注いでおり、他社ゲーム機用ソフトを開発する予定は現時点ではない」(香山哲特別顧問)と主張。むしろ、今後はネットワークゲームに特化し、「世界一のネットワーク・ゲーム・サービス・プロバイダーになる」(佐藤秀樹副社長、写真)との姿勢を改めて強調した。11月1日付けでセガ特別顧問に就任した香山氏は、10月31日までリクルート子会社のメディアファクトリー(本社:東京都渋谷区)で常務を務め、セガのゲームタイトル「サクラ大戦」を任天堂の「ゲームボーイ」で発売したことで知られる。しかし今回の発表では香山氏自身が、「ゲームボーイ版サクラ大戦で採用した、『開発:セガ、発売元:メディアファクトリー』という形式でのセガ製ゲームタイトルの他社ゲーム機への提供も、現在は予定していない」と述べた。
パソコン向け「DCカード」など開発へ
その一方で同社は、パソコン、デジタルテレビ用STB(Set Top Box)、AV機器、携帯電話機などへDCのアーキテクチャを移植し、DCのゲームソフトが使えるハードウエア「DC互換ファミリー」を拡大する方針だ。例えばパソコンなら、DCのチップを搭載した「ドリームキャストカード」を開発する。
セガの集計によれば、同社のゲームソフト販売における世界シェアは現在で4.2%。企業としては第6位に当たる(1〜5位は任天堂、米Electronic Arts、コナミ、ソニー・コンピュータ・エンタテインメント、スクウェアの順)。
「DCのみへのソフト供給で世界6位。供給ハードを多角化すれば、世界シェアで25%を確保することも可能」(香山哲特別顧問)との見解から、DC互換ファミリーを増やすという。
また、パソコンにDCを移植することで、同社が提供するネットワークサービスの売り上げ拡大も狙う。現在、DCを使ってネットを通じたゲームの対戦や音声通信、データ配信などのサービスを受けられるが、その際ユーザーは、同社グループ企業のイサオ(本社:東京都港区)に会員登録をし、使用料金をイサオに支払う必要がある。それをDC互換のパソコンであれば、他のISPを通じてサービスを受けられるようにし、ネットワークサービスを使いやすくする。
ネットから「ストーリー」をダウンロードするRPGなど開発
そして同社では、「ネットワークゲームならではの、全く新しいゲームを開発し」(佐藤副社長)、同社のネットワークゲームの延べユーザー数を、現在の35万人から1000万人に増やすとしている。例えば、ロールプレイングゲーム(RPG)であれば、「毎月、ゲームの『ストーリー』をネットで有償配信し、ユーザーが好きなストーリーを選べるようにする」(佐藤副社長)、スポーツゲームであれば「ネット上の大会を開き、上位入賞者を大々的に表彰する」(同)といった計画だと言う。
ただし、ネットワークゲームユーザー増加の起爆剤として位置付ける、DC互換ファミリーの拡大は、決して容易ではない。パソコンについても、DCのゲームの記録媒体は「GD-ROM」と呼ばれる独自フォーマットのCD-ROMであるため、DVD-ROM装置のあるパソコンしか、DCは移植できない。またCD-ROM装置やDVD-ROM装置を持たないSTBの場合、「5GB程度のゲームのデータを、STBのHDDにダウンロードしてもらう」(佐藤副社長)ことになるが、そのようなゲーム配信システム実現は、まだまだ先のことだ。
無論、ネットワークゲーム普及の困難さは同社も認めるところだ。説明会の最後に佐藤副社長は、居並ぶゲーム雑誌編集者に対して、「1998年11月のDC発売以来、『ネットワークインフラが貧弱な日本では、ネットワークゲームは普及しない』と常に言われてきた。しかし、若年層の可処分所得が携帯電話に喰われることで、ゲーム業界全体が縮小している現在、セガが新しい提案をしなくては、ゲーム業界が立ち行かなくなってしまう。ゲーム・マスコミには是非、読者に対してネットワーク利用の有用性を啓蒙して頂きたい」と苦しい胸の内を語った。
果たしてセガは、同社の言う「世界一のネットワーク・ゲーム・サービス・プロバイダー」へと脱皮できるのか。その試金石となるのが、12月に発売を予定する「ファンタシースターオンライン」だ。これは、ネットワーク・サーバー上に構築される「ゲーム世界」に、複数のユーザーが同時にログインして冒険を楽しむという、同社初の「オンラインRPG」。オンラインRPGは、パッケージ販売以外にネット参加料が見込めることから、セガもネットワークゲームの本命として有望視する分野。ちなみに、その元祖であるパソコンゲームの「Ultima Online」(米ORIGIN Systems)は、35億円のネット参加料収入を得たという(セガ推計)。セガの将来像は、早ければ2001年の初めにも浮き彫りにされそうだ。(中田 敦)
■関連情報
・セガの発表資料 http://www.sega.co.jp/sega/IR/presen/presen.html
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