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活況に沸く半導体メーカー、相次ぐ業績上方修正

2000年9月5日
 半導体メーカーの業績の上方修正が相次いでいる。

 8月21日、東芝は2001年3月期の半導体部門の営業利益を650億円から1300億円に修正すると発表した。東芝グループの連結営業利益は同期に2850億円になると見られているが、その半分近くを半導体部門が稼ぎ出している計算になる。東芝セミコンダクター社の森本泰生社長は「急増する注文に追いつくために必死だ」と話す。

 NECも業績の上方修正を発表した。2001年3月期は連結の営業利益が従来の予想から200億〜300億円増え、連結で2300億〜2400億円になる見込みだ。製品構成が似通っている他の半導体大手も同様に業績を上方修正する可能性が高い。

 製造装置メーカーも絶好調だ。半導体の研磨装置を製造・販売するディスコは業績の見通しを既に今期2度上方修正している。連結純利益は前期の2.6倍の129億円に達する見込みだ。「昨年は海外の半導体メーカーからの受注が多かったが、最近は国内メーカーの投資意欲も旺盛」と溝呂木斉副社長は予想を上回る受注に顔をほころばせる。製造装置で国内最大手の東京エレクトロンも2001年3月期の連結売上高を前期比56%増の6900億円、経常利益は1000億円に上方修正した。

 かつてない好景気に沸く半導体メーカーの幹部の口から聞こえるのは「今度の景気は1980年代、90年代とは、構造的に全く異なっている」という見方だ。従来は“シリコンサイクル”と呼ばれる一定の周期で、半導体事業はジェットコースターのように大幅な黒字と赤字を繰り返してきた。これは、日本の大手半導体メーカーのほとんどが、収益をパソコンに使われるDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の需要変動に左右されてきたからだ。

 今の半導体景気は従来とはちょっと違うようだ。日立製作所の石橋正専務はこう言い切る。「携帯電話やインターネット関連の通信機器、情報家電向けにDRAM以外の半導体の用途が一気に広がった。シリコンサイクルで一喜一憂する時代は終わった」。

 他の半導体メーカーの幹部もこの見方に同調する。NEC半導体部門の小口俊夫マーケティング本部長は言う。「従来のシリコンサイクルに左右されるのはDRAMだけだ。しかもその比率はかなり低くなった」。

 この好景気はいつまで続くのだろうか。世界半導体市場統計(WSTS)は2000年の世界の半導体市場は前年の1493億ドル(約16兆円)から1950億ドル(約21兆円)に拡大すると予想している。2001年にはさらに2344億ドル(約25兆円)にまで増加、その後も高成長が持続すると見ている。

今こそ必要な収益力強化

 とはいえこの「シリコンサイクルはなくなった」という見方に否定的な意見がないわけではない。

 過剰な供給があれば製品の値段は下がり、供給が足りなければ上がるという原理はなくならない。半導体産業が依存する製品がパソコンのみではなくなっただけで、過当競争がいずれ新たなサイクルを生む、というのだ。「シリコンサイクルはなくならない。重要なのは、いざ過剰供給になって値崩れした時の対応力だ。高いシェアを握ることで安定的な収益を確保できる製品をどれだけ抱えているかが勝負の分かれ目になる」と、メリルリンチ証券の進均シニアアナリストは指摘する。

 何より、日本の半導体大手の今の好調は、自助努力というより、むしろ市場環境の好転によるものだ。早くから事業の選択と集中でDRAM依存を脱却した米テキサス・インスツルメンツ(TI)や欧州のSTマイクロエレクトロニクスなどは、収益構造の劇的な変化で、日本勢が苦しんでいる時期にも高い利益を生み出している。業界全体が好調な今はなおさらだ。「シリコンサイクルはなくなった」と浮かれる前に、欧米勢や韓国、台湾勢に負けない収益力を身につけることが先決だろう。(山崎 良兵、篠原 匡)
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