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アメックスとJCB、加盟店相乗り戦略の真意

2000年6月27日
 国際的なクレジットカードブランドによる、史上初の業務提携---6月13日、国内クレジットカード最大手のジェーシービー(JCB)と米アメリカン・エキスプレス(アメックス)は、加盟店業務の提携に関する基本合意書に調印した。2001年春から、アメックスは日本における加盟店獲得や売り上げ処理などの加盟店業務をJCBに委託する。一方で、JCBは豪州、ニュージーランド、カナダにおける同業務をアメックスに委託する。アメックスは、米国にあるクレジット端末機をJCBカードも取り扱うことができるようにするという。

 この提携によって、両社は取り組みが遅れていた国で、急速かつ低コストで加盟店網を拡大できる。両社のカード会員が、近い将来に双方の加盟店を利用できるようになれば、会員数や売上高が急増すると見込んでいる。

 だが、提携について両社とも多くを語ろうとしない。提携が明らかになってから、問い合わせが殺到しているが、JCBで国際営業を担当する吉澤邦夫取締役は、「まるでブランドが統合するかのような騒ぎだが、我々はこれまでも世界各国で現地金融機関に業務を委託してきた」と冷静に話す。両社は記者会見すら開かなかった。

 業界関係者は、「ビザとマスターの独禁法訴訟があり、自粛しているのではないか」と見ている。米クレジットカード最大手のビザUSAと、同2位のマスターカード・インタナショナルが、高い市場シェアを背景に、競争を阻害しているとして、米司法省に訴えられている。そんな騒ぎの最中に、国際提携を大々的に打ち出すのは好ましくないと判断したのではないか、というわけだ。

 だが、裏を返せば、そんな状況でも、提携戦略を推し進めなければならないほど、クレジットカード業界は熾烈な競争状態に突入している。

 日本で3月にサービスが開始されたデビットカードは、小売店が支払う手数料が1〜2%で、クレジットカードの3〜7%に比べて安い。こうしたカード間競争も起きている状況で、早急にコスト削減を進めなければ、クレジットカード自体の競争力が低下する恐れがあるわけだ。

加盟店拡大から付加価値の勝負へ

 アメックスは日本では富裕層の「ステータスシンボル」として普及してきたため、若者が利用する加盟店を獲得するのに、コストと時間がかかっていた。JCBの407万店に上る国内加盟店網を取り込めれば、アメックスの顧客拡大戦略は一気に加速する。

 リストラによるコスト削減も実現できる。アメックスでは、日本法人の社員約700人のうち、1割程度が加盟店事業部に勤務する。この部署と、業務部にいる加盟店への請求書の発送を受け持つ業務が縮小・廃止されることになる。東京・荻窪にそびえ立つ17階建てのアメックス・タワーは、かつて全館をアメックスが使用していたが、相次ぐ業務の海外移管で、今ではフロアの半分には他社が入居している。こうした効率化がさらに進められるわけだ。

 JCBも提携により低コストで世界戦略を加速できる。現在、世界16カ国でカードを発行しているが、年内には海外の会員が200万人に達し、海外売上高は前期比で倍増するという。

 「加盟店の獲得を、クレジットカード各社が別々にコストをかけて開拓していく時代は終わった。これからは、カードに特色ある付加価値をつける戦いになる」(吉澤JCB取締役)

 これまで、クレジットカード会社にとって、加盟店網を拡大することが、競争上優位に立つための重要なポイントになっていた。だが、ここに経営資源を使っていては、他業態とのカード戦争に打ち勝てない。

 クレジットカード会社にとって、加盟店網は共通のインフラでしかない、という認識に変わりつつある。クレジットカード各社の加盟店業務の提携が進む一方で、個別の新しいサービス戦略が盛衰を左右するカギになりそうだ。(金田 信一郎)

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