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慶応大学、「インターネット自動車」など産官学共同研究プロジェクトを公開

1999年11月19日
 慶応義塾大学は11月19日、慶応義塾湘南藤沢キャンパス(SFC)で研究活動の発表会「オープンリサーチフォーラム」を開催した。SFC教員と民間企業、官公庁の共同研究プロジェクト「SFC研究コンソーシアム」などの成果を学外に公開することを目的としており、今年で4回目となる。今回の特徴は、インターネット技術を利用した製品/サービスについての発表が数多く行われたことだ。発表会は19日と20日の2日間開かれる。

●インターネット端末を搭載した自動車を公開

 村井純教授がリーダーを務める研究プロジェクト「インターネット自動車」は、インターネット接続用の車載端末とこの端末を利用したサービスを発表した。また同時に端末を搭載した自動車を大学構内で実際に走らせるデモも実施した。

 インターネット自動車のシステムは、「エージェント」、「サーバー」、「クライアント」の3要素で構成する。エージェントとなる自動車には、専用計算機と通信機器(無線LAN、携帯電話など)、GPS(Global Positioning System)受信機などを備えた車載用端末を搭載する。この端末で、車速やライトのON/OFFなどの自動車の走行情報やGPS情報を、インターネット経由で専用サーバーに送信する。

 サーバー上のデータは、クライアント・アプリケーションの開発により様々な利用が可能だ。今回は、自動車の走行軌跡を記録するサービスを公開した。複数の自動車の走行情報を詳細に収集すれば、滑りやすい道路の位置や道路の込み具合を通知するサービスなども可能になるという。

 村井教授らは97年6月、民間企業と共同で「インターネット自動車コンソーシアム」を設立しており、現在、NTTドコモ、本田技研工業、NECなどが参加し、研究開発を進めている。

●Webサイトで障害者就労の支援サービスを提供

 金子郁容教授をリーダーとするプロジェクト「VCOM」は、インターネットを利用した障害者向け就労支援サービス「Job Matching Square」を発表した。Webページ(http://jms.vcom.or.jp/)を通じて、障害者を雇用したい企業と就労を希望する障害者を募集し、同じページ上でこのデータを公開するというサービスだ。障害者雇用の専門家などが参加するメーリングリストなどにより、障害者と企業の双方を支援するための体制を用意しているのが特徴だ。

 このサービスは1998年7月に開始しており、現在までに企業約50社と求職者約230人が登録している。既に3件の雇用が成立し、新たに数件がテスト雇用の最中という。

 Job Matching Squareは、金子教授らが運営するWebページ「VCOM」(http://www.vcom.or.jp/)内のサービスとして開始したもの。VCOMはインターネット上に様々なコミュニティを創出することを目的としており、Job Matching Squareのほか、女性のための情報ページ「WOM」やNPO活動支援ページ「シーズ」などがある。

●いすを揺らして相手とコミュニケーションする

 インターネットを利用していない発表ももちろんある。中でも目を引いたのは、修士課程に在籍する藤村憲之氏が展示した「Distanced Furnitures」。揺りいす2つを離して設置し、片方が揺れるともう一方も同じように揺れるというものだ。いすの下部に振り子と加速度センサーが付いていて、センサーが察知したいすの動きのデータを基に、もう一つのいすを揺らすという仕組みだ。

 双方のいすに人が座っている場合、片方のいすを揺らすと、もう片方にその振動が伝わる。インターネット技術をベースにしたほかの発表の多くが、他者とのコミュニケーションを肉体的に実感できないのに対して、この展示が提供するコミュニケーションの形態は斬新なものと感じられた。

 藤村氏はDistanced Furnituresを、コミュニケーションについて観客とともに考えるための道具と位置付けており、7月には東京・銀座、10月には横浜の公共の場所に展示し、さまざまな人に体験してもらったという。

 湘南藤沢キャンパスは、慶応義塾大学が5番目のキャンパスとして1990年に開設した。現在、総合政策学部と環境情報学部の2学部、大学院政策・メディア研究科、SFC研究所の3組織がある。オープンリサーチフォーラムを主催したのはSFC研究所。SFC研究所は、学内の教員だけでなく、他大学、民間企業、公的機関に所属する所員・研究員を受け入れており、これまでの大学の枠にとらわれない視野の広い研究活動を展開している。(土肥 研一)

■問い合わせ先
・慶応義塾湘南藤沢研究支援センター 電話0466-47-5111
・オープンリサーチフォーラムのWebページ http://www.sfc.keio.ac.jp/ORF99/
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