奈良市が世界建築博中止決定--黒川氏は「今後も再開発に助言」
1999年3月23日
市は「2010年までに開催する予定だったが、景気回復の見通しは今のところなく、企業の協力が期待できない。市の財政も厳しい状態」(企画部企画第二課の北川健五参事)と中止の理由を説明する。
市が世界建築博覧会の計画を発表したのは89年。JR奈良駅周辺の再開発地区を第一会場として国際コンペなどで選ばれた建築家の設計した建物群を展開、第二会場である奈良町地区の町並み保存・活用と併せて、奈良の新旧まちづくりの姿を世界に向けてアピールするイベントだった。第一会場には25の街区に公共施設と民間施設(総工費約1200億円)が建つことになっていた。
博覧会の計画・運営は市長が会長を務める博覧会協会が担当し、89年度に総合プロデューサーとして建築家の黒川紀章氏を迎え、98年度までの任期で企画立案や建築設計者選定を委託した。委託料は合計7200万円。また、建築関連の展覧会やシンポジウムなどからなるプレイベント「トリエンナーレ奈良」を92年から98年までに3回開催した。
しかし、バブル崩壊後の不況で民間企業の誘致は難航し、第一会場の再開発は予定通りには進まず、95年には当初98年に予定していた開催時期を「2010年までの可能な時期」に変更した経緯がある。実際に98年度までに竣工したのは、市民ホール「なら100年会館」、市営の「コミュニティ住宅」、三井ガーデンホテル奈良などが入居する「JR奈良駅前再開発第一ビル」の計3棟のみ。市は99年度予算案策定の過程で計画を再度見直し、今回の中止決定に至ったという。
黒川氏は、「なら100年会館の設計者選定で奈良では初めての国際コンペを実現したことや、再開発の情報公開などで十分意義があった」と総合プロデューサー在任時を振り返る一方、「建築博中止を挫折と受け取るべきではない。今後もボランティアとしてコンペやイベントの開催を市にアドバイスしていく。プレイベントの展示物を所蔵する建築美術館の実現にも尽力したい」と語る。
これに対し市は、「何らかの形で建築関連のイベント開催を考えていく」(北川氏)としている。
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